◆火急の課題
　物流業界は、あらためて言うまでもなく、深刻な人材不足です。多くの読者企業にとって、人材採用力の強化は火急の取り組み課題でしょう。
　今回は、この人材採用力を因数分解し、より緻密に分析し、強化を図っていくやり方について提言したいと思います。

　◆人材採用成功の定義
　まず、どの時点で、人材採用が成功したと言えるのか、それを決めておかなければなりません。
　これについて、私たちは、入社手続きをして３か月が経った人材を〝採用成功〟と定義付けています。よって、「採用成功率＝３か月生存数÷問い合わせ数」です。
　◆工程分解
　そして今度は、プロセスを分解します（図１）。それぞれのプロセスごとに、次段階へ進められた確率を測っていけば、自社の採用力が見える化されます。
　特に、複数の拠点を有している企業は、各拠点の数値を比較してみましょう（図２）。各拠点の強い点・弱い点が一目瞭然、浮き彫りになります。そうすれば、やるべきことは、もう見えてきます。
　◆長所伸展の法則
　各拠点の得意なプロセスについて、やり方を標準化し、他の拠点へ展開していくのです。
　例えば、面接来社率が、他の拠点に比べて著しく高い拠点があったとします。原因は、問い合わせ電話への対応レベルの高さでしょう。
　おそらく丁寧なのでしょう。また、相手に合わせた面接日時のセッティングができているのだと思います。
　さらに、なるべく問い合わせ時から近い日時に、面接の予定を入れているはずです。
　こういったことは、よい数値が出ている拠点のやり方を調べれば、ちゃんと出てきます。これらを他の拠点へ展開することです。数値に基づいた地道な改善は、必ず成果に表れてきます。
（船井総合研究所・橋本直行）
☆船井総研が運営する物流ビジネス情報サイト「http://www.ecologi.net」
※記事は14年6月の記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。