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ブログ・高橋 久美子
第284回:「お客様の声集め」失敗事例
2015年8月17日
さて、お客様の声集めに失敗したYさんが、取引先の荷主に投げかけたのは次のような質問でした。「今後、より一層、お客様に喜んでいただける会社になりたいと思っております。当社へのご要望やお気づきの点など、どんなことでもけっこうですので、お客様の声をお聞かせください」。この質問に対して、親しい荷主ほど、Yさんの会社への要望を数多く列挙してくれました。もちろん、善意です。中には、車種を増やした方がいいなどの具体的なアドバイスを書いてくれた荷主もいました。
逆の立場で考えてみましょう。あなたのお気に入りの居酒屋で、同じようなことが書かれていたらどうでしょうか。「みなさまにより愛されるお店を目指したいと思っています。どんなことでもけっこうなので、要望やお気づきの点を教えてください」。このように言われたら、善意のあなたは一生懸命、改善点を探すのではないでしょうか。
「もう少し日本酒の種類を増やした方が、サラリーマン層に受けると思う」「ファミリーでも来れるように、メニューにご飯ものを増やしたほうがいいかも」など、お客の目線で、善意で改善点を進言する可能性が高いです。
しかし、当然ですが、お客の勝手な意見は、営業戦略目線のはずがありません。個々の要望に応えることで、オペレーション効率が下がったり、仕入れ原価が上がったりします。つまり、いくら要望を聞いたところで、その要望に応えられる可能性はとても低いわけです。
Yさんの例も同じです。親しい荷主が、善意で伝えてくれたアドバイスや改善案は、Yさんの会社が実行できる内容ではありませんでした。ところが、いつまで経っても自分が書いたアドバイスが反映されていないことがわかると、書いた側は不満を感じてしまいます。
「なんだ、せっかくあなたのためを思って考えたのに、どうして変えないの? 私の提案は、いい案じゃなかった?」という具合です。本来、好きになってもらうために、お客様の声を書いてもらおうと思ったのに、これでは不満を感じさせてしまい、まるで逆効果になってしまうというわけです。この記事へのコメント
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筆者紹介
高橋 久美子
あなたの会社が儲かっていない本当の理由
規制緩和により、夢大きく独立開業した運送会社の社長たち。その社長さんたちが、規制緩和後の業界環境の変化により、今、とても厳しい状況に立たされています。経営不振の影響によるメンテナンスの不備も懸念され、それが引き起こす悲惨な交通事故も、連日ニュースで報道されています。このような危機的状況を受け、中小規模運送会社の根本的な経営改善と救済を目的として発足したのが、私たち「全国中小規模運送会社 経営改善推進委員会」です。
全国中小規模運送会社 経営改善推進委員会 -
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