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ブログ・高橋 久美子
第320回:どんな要望にも全力で応える(3)
2016年4月18日
さて、しばらくすると、そんな努力が報われ、配送の仕事をもらえるようになったのか? というと、残念ながら、そうはなりませんでした。
結局、キムチのブームが去り、製造量が激減して、工場は縮小することになりました。私達の仕事も打ち切られることになりました。今でも思い出すと、自分のバカさ加減に情けなくなります。
「どんな要望にも全力で応える」という姿勢を見せていれば、いつか、誠意が伝わって、利益の出る便をまわしてもらえる。当時は本当にそう思っていたのです。この私の考えは一見、誠実そうに見えます。
しかし、今は、はっきりわかります。経営者として、無知で怠惰で、きれいに聞こえる言葉に逃げていただけでした。自分は、がんばっているような気分で自己満足でいいかもしれませんが、そのシワよせはドライバーと、会社の決算書に行きます。経営者の無知は怠惰です。「人がいい」なんて言葉は、経営者にとっては決して褒め言葉ではありません。「誠意が伝わって、いつかきっと」なんていうのは、自分が勉強する努力を放棄して、他人に期待していたということです。
こんなゆるい考えだったから、うまくいかなくて当然だったと、今ならわかります。お恥ずかしい話ですが、この頃、私は、自分なりには、「がんばっている」つもりだったのです。汗をかくことや、へとへとになること、苦労することで、「がんばっている」「努力している」つもりになっていたのです。
ひょっとしたら、その苦しい姿を従業員に見せることで、「こんなにがんばっているんだから、いい待遇にできなくても攻撃しないでね。許してね」と、無言で圧力をかけていたのかもしれません。しかし、「結果が出ない努力」を続けるのはただの無能です。
結果が出ないなら、やり方を変えないといけない。あの頃の私は、その真実に気づくまで、 長い時間・労力・お金をかけてしまいました。
いつかきっとではなく、今、適正運賃を払ってくれるお客と付き合う。これが運送会社の経営者が優先すべきことです。この記事へのコメント
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筆者紹介
高橋 久美子
あなたの会社が儲かっていない本当の理由
規制緩和により、夢大きく独立開業した運送会社の社長たち。その社長さんたちが、規制緩和後の業界環境の変化により、今、とても厳しい状況に立たされています。経営不振の影響によるメンテナンスの不備も懸念され、それが引き起こす悲惨な交通事故も、連日ニュースで報道されています。このような危機的状況を受け、中小規模運送会社の根本的な経営改善と救済を目的として発足したのが、私たち「全国中小規模運送会社 経営改善推進委員会」です。
全国中小規模運送会社 経営改善推進委員会 -
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