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運送会社
モスバーガー 食材配送システムで「エコリーフ環境ラベル」
2007年4月13日
ハンバーガーチェーン「モスバーガー」を展開するモスフードサービス(東京都新宿区)が、生鮮野菜の物流サイクルで「エコリーフ環境ラベル」を取得した。物流業界ではなじみの薄い同認証は、産業環境管理協会(産環協)が推進しているもので、これまでカメラやラベルプリンタなど製品認証が中心。物流サイクルへの認証は今回が初めて。
環境問題に取り組む同社では、「私たちが先行者になれれば」(CSR推進室中山卓三社会貢献グループリーダー、写真右)と、同認証が物流事業者に浸透することを期待している。
認証を受けたのは、「レタス・トマト・タマネギ(カットタマネギを含む)の食材配送システム」。三種類の食材に的を絞った理由を、大垣充商品流通部長(同左)は「すべて国内で調達している食材だから」と説明する。海外生産の食材は、輸送距離などの算定時に複雑な要素が絡むため、まずは確実に情報を開示できる食材をピックアップした。
これらの野菜の主要産地・配送拠点・店舗情報と配送物の重量から、輸送にかかった「エネルギー使用量」「温暖化負荷量」「酸性化負荷量」(食材一t当たり)をトンキロ法で割り出す。主要産地は全国約52エリア、野菜配送センターは7か所、店舗数は1000を超え、利用輸送手段はトラック・鉄道・船舶・航空機。物流業務は外部に委託しているが、「高い輸送品質を求めている」と同部長。モーダルシフトや通い箱の活用、共同配送の導入など、「環境にやさしい物流」に力を入れている。
飲み物の容器にはリユース可能なものを使うなど、すでに「モス=環境」は広く浸透。持ち帰り容器に、燃焼時にCO2を増加させない自然由来の原料を用いた「バイオマス容器」を採用するほどの徹底ぶりだ。04年には一つの到達点として、ISO14001を全店舗で取得。今回の「エコリーフ環境ラベル」の認証取得は、その取り組みをさらに進めた形。
「企業活動で発生する環境負荷を公開する」という目的を持つ同認証を取得した背景について、中山グループリーダーは、「企業側が『こんな取り組みをしています』と掲げるのは大切。しかし、その取り組みが果たしてどんな実績を挙げているのかまで検証している例は少ない」と指摘。そこで、「(情報の)受け取り手に判断を委ねる」同認証の取得に踏み切ったと話す。「情報を開示し、第三者にその評価をお任せする」。一方的な情報発信ではない形でCSRを果たすという、新しい形の企業コミュニケーションと言える。
05年4月から06年3月の1年間の環境負荷データは、モスバーガー各店舗と産環協HP(http://www.jemai.or.jp/)で公開。6月にも、06年4月—07年3月分のデータを公開する。
同社HPは、http://www.mos.co.jp/
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「エコリーフ環境ラベル」とは
「エコリーフ環境ラベル」とは、製造から輸送、販売、使用、廃棄、再利用に至る「製品の一生」の中で、どれだけの環境負荷がかかっているかを測る「ライフサイクルアセスメント(LCA)」という手法に基づき、その結果を開示するもの。同ラベルを統括する産業環境管理協会(東京都千代田区)の小関康雄エコリーフ事業室長(下写真)によると、「決められた基準を合格した証明となるエコマークなどに比べ、情報を公開し、『消費者に判断を委ねる』という意味合いが強い」という。
同ラベルは、「製品の素材重量」「製造時にかかる電力量」「輸送条件」「製品使用時の電力量」「リサイクル率」などの各種データをもとに、その製品が「どれだけ環境に影響を与えたか」を数値化する。モスフードサービスの「食材配送システム」の場合、「配送する食材の重量」「トラックなど輸送媒体の製造・廃棄にかかるエネルギー量」「配送距離」「配送センターでのエネルギー使用量」「包装資材の使用量」などのデータが使われている。
同ラベルは02年6月にスタートし、これまでの登録公開ラベル数は約600件。認証取得企業は、雑誌・新聞広告や製品パッケージにマークを掲載することで、「環境への意識が高い企業」とのイメージアップ効果を見込める。しかし、同室長は「公開されたデータが、消費者が商品やサービスを選ぶ際の判断基準になるのが理想」と話し、「現在のところは、認知度向上に注力している段階」という。
複写機をはじめ、プリンタやデジタルカメラなど、電子機器の分野で普及が進んでいるが、「今後は、サービス業にも浸透させていきたい」という。「物流専業の事業者にも、ぜひ取り組んでいただければ」と期待を寄せる。
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