【兵庫】兵ト協主催の「ドライバーコンテスト」に約20年間連続で出場している男性がいる。心意気は「優勝なんか狙っていない。安全への意識を高めるため」。他人からの評価のためではなく自らを高めるための出場だ。鉄人ドライバーの挑戦は今日も続いている。
鋼材輸送が主力のムラタ（尼崎市）。折笠晃さん（62歳）は34年前から同社に務める古参ドライバー。早朝から名古屋方面などに向かう毎日を過ごしている。

　当時からハンドルを握る者の気構えは「事故を起こしたら仕事を辞める」という覚悟に特徴的に表れるという。左片側のタイヤを側溝に落とすハンドル操作ミスがこれまでに一度あったほかは全くの無事故。「速度超過なんて取られるのはプロじゃない」と豪語する。無違反記録も更新中の「ゴールド免許」所持者だ。
　コンテストでのこれまでの最高順位は3位。優勝はおろか入賞も狙っていないから、ほかの参加者の動きとはおよそ違う。日常点検競技では大手事業者からの選手は体力に任せて息切れせんばかりだが、折笠さんは一つひとつ確かめるように動くため緩慢に見える。
　会社の方針で、新人ドライバーをコンテストに連れて行く。年長者が元気にマイペースで会社を引っ張る姿は「プロ野球・阪神の金本選手みたいですね」というと「まあ気を抜かんようにやるわ。生きていたら来年も出場する」と冗談交じりに笑っていた。