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    サーチャージ制「実効力を疑問視」 矛盾指摘する実運送事業者

    2008年6月11日

     
     
     

     過日、自主廃業した西日本エリアの運送会社の直接原因は「運賃値上げ交渉の結果、輸送依頼が途絶えた」ためだったという。燃料サーチャージによる交渉を荷主に持ち込んだわけではなかったが、大幅な軽油値上げの状況を打ち明け、理解を求めた揚げ句の結末だけに、業界に与える衝撃は大きい。
     関係行政や業界団体なども緊急施策としてのサーチャージ制度を浸透させようと取り組んでいるものの、こうした現実を熟知している実運送の現場からは業界構造や、制度の矛盾を指摘する声も根強い。


     サーチャージの実効力を疑問視する実運送事業者から多く聞かれるのは「同じ荷主(元請け)に出入りするトラック会社が複数あれば、現在の仕入れ価格(軽油)が下請け事業者の優劣を決める材料になってしまう」というもの。
     「最近は信用調査会社による評価点で燃料単価が決まる傾向があるようで、仕入れ価格イコール企業の信用力となってしまう」との声も聞かれる。こうした実情から「目安となる単価を国に示してもらいたい」と求める関係者が少なくない。
     「運送会社が消えるのは困るが、既存の会社が存続しなければ困るという考えは(国の)頭にない」と話すトラック7台の零細事業者は、「荷主との直取引なら相手も困るから別だが、同業大手などの下請けだと『いくらでも運送会社はある』と言われてしまう」と打ち明ける。社会保険も脱退の方向へと考え始めていたというが、「最近になって未加入が行政処分の対象になるとされたことで、簡単にやめることは認められない気がする」と苦悩の表情を浮かべながらも、「商売をやめる考えでもなければ到底、値上げの話など切り出せない」という。
     「信じられない」と息巻くのは食品輸送の事業者。3年ほど前と比べ、同社の軽油価格はほぼ倍になっているが「少し前のリッター100円程度でサーチャージを受け入れるという通知が荷主から届いた」というのだ。「確かに現在は120円ほどだから一時的には助かるが、もし燃料価格が値戻しするようなことになれば、運賃値下げになってしまう可能性もある」と指摘する。「サーチャージを切り出す前に、先手を打って5%くらいの値上げを伝えてきた荷主もあるが、これも同じだ」とぶちまける。
     一方、燃料上昇分の転嫁を運賃とは別建てと位置付けることで、かねて業界が取り組んできた「適正運賃の収受が影を潜めてしまった」と話す関係者も多い。また、複数の中間業者が存在する多層構造を踏まえれば、真に困っている実運送の現場まで「別建て」分が下りてくるかという疑問もあるだけに、「他の交通運輸産業とは違った政策的な工夫が必要ではないか」との声も聞こえてくる。

     
     
     
     
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