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ブログ・川﨑 依邦
経営再生物語(276)人材育成について(3)A社の事例(1)
2020年1月27日
・期待をかける
人間の本質は内面にダイヤモンドを持っている。ダイヤモンドとは、自ら伸びる力のことである。このダイヤモンドは、自ら磨いていく持続で輝く。
では、磨こうとする意欲は、どこから生じるか。旭化成の元マラソンの宗茂監督は、伸びる人の条件として次のように語っている。
「一番大事なのは、期待してくれている人がいることなんです。期待されない人間は強くないですね。期待されていることを感じている人間は意欲もわき、強くなります」
この期待するという心が育成者、リーダーには必須である。この心をなくして破滅していったリーダーについて今回とりあげて反面教師とする。
・A社の破滅ストーリー
A社は、1992年11月、200億円の負債を抱えて倒産した。創業してから35年、晩秋に散った。従業員200人、中堅建設業である。倒産原因は、急増する借り入れ金の金利に押しつぶされたことで、バブル崩壊の姿をさらした。
なぜ200億円という借金をしたのか。それはバブルに踊り狂ったとしか表現し得ない。
創立30年で創業者社長が急死し、40歳で二代目が後継者となった。この二代目は、かつて技術力を誇り、小回りのいい建設会社を不動産屋に変質させて、一敗地にまみれさせた。5年前は従業員70人、年商50億円、それが倒産した1992年の決算は、従業員200人、年商280億円と急拡大し、ついにはじけてしまった。その真因はどこにあるか。色々な言い方があろうが、トップの姿勢に問題があったと言い得る。人や本業に期待せず、バブルに期待したトップの姿勢こそ問題である。
この二代目は、後継者となったとき立派な社訓を設定し、中期ビジョンを明らかにした。方針発表会を行い、QC活動も行った。実に経営活性化のお手本の如きであった。では、なぜ、つぶれたのか。方針発表会やQC活動が誤っているのか。そうではない。それは、見せかけの言葉にあやつられ、正攻法に経営していく姿勢がなかったからだ。
二代目は、実にうまく言葉をあやつる。しかし中身がない。中身のかわりに派手さと見栄と私欲があった。いくらいいことを言っても、背中で語れなかった。背中とは、行動見本である。 (つづく)
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筆者紹介
川﨑 依邦
経営コンサルタント
早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。
株式会社シーエムオー
http://www.cmo-co.com -
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