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ブログ・青木 正一
第17回:ドライバーをチェック
2006年5月14日
配車担当者M氏の取り組みは、ドライバーや物流企業の頻繁な入れ替えであった。通常、ドライバーや物流企業の入れ替えは、現場での混乱が懸念される。そこでM氏は、現場側もドライバーや物流企業が変更になったことで混乱しないように、出荷作業の標準化にも取り組んでいた。特に、現場担当者とドライバーのやり取りが行われる積み込みや伝票の受渡し業務に重点的な改善を行っていた。
イバーがマンネリ化していないかをチェックするそうである。積み込み時に見せる顔が一日の業務で一番厳しい表情をしていたのが印象的であった。だらけているドライバーを発見すると、まずは注意をするという。それでも改善が見られない場合はドライバーの変更を物流企業側に依頼する。場合によっては物流企業ごと変更してしまうのだという。
その際には多数の物流企業に声をかけ、必ず見積もりをとり、見積もりの中で一番単価が高い企業がまず落選する。その後、コストと品質を考慮して委託先を決定する。この手法は物流企業側にも知れ渡っており、各物流企業はチャンスがあれば新規荷物獲得のチャンスだと虎視眈々と狙っているのだという。また、現場でもサービスレベルの低下は荷主を失うことに繋がる意識が高まっており、品質向上やドライバー教育への意識が高まっているそうだ。
また、K社の新規得意先との取引スタート時や、得意先の納品先が変更になったときなども、現状の物流企業をシフトするのではなく、M氏が独自に集めた物流企業を合わせた形で再見積書の提出を要求することにより競争の場を作っているのである。
結果、物流企業からは既存のコースに対しても「そのコースに他の得意先から便が出ており、帰り便を使用することで現状より安くできるはずであるから、そのコースの配送を受託させてくれないか」というようなコスト削減提案も出るようになっているという。
M氏の取り組みは、現場において特定の物流企業でなければできない業務を削減することによって競争を可能とし、さらに外からフ情報を自ら収集することで競争に新しい血を入れ、コスト削減と品質の向上を図ったものだったのである。この記事へのコメント
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筆者紹介
青木 正一
株式会社日本ロジファクトリー
1964年11月13日生まれ、京都産業大学経済学部卒。
学生時代に数々のベンチャービジネスを行い、卒業後、ドライバーとして大阪佐川急便入社。1989年株式会社船井総合研究所入社。物流開発チーム・トラックチームチーフを経て、コンサルティングでは対応できない顧客からの要望を事業化するという主旨で1996年“荷主企業と物流企業の温度差をなくす物流バンク”をコンセプトに、物流新業態企業「日本ロジファクトリー」を設立。代表取締役に就任。
主な事業内容として「現場改善実務コンサルティング」「物流専門人材紹介(ロジキャリアバンク)」「物流情報システム構築サポート(ロジシステムデザイン)」を行なっている。
また、物流業界におけるコンサルタントの養成、人材の採用、育成、M&Aといったプロデュース業務も手掛けている。
最近では、産業再生機構からの要請を受けるなど、「物流再生」に力を入れている。 -
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