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  • ブログ・馬場 栄

    第94回:未払い残業代の請求

    2016年12月8日

     
     
     

     労務問題で大きな経営リスクとなるのが未払い残業代問題です。長時間労働で労働時間管理をしておらず、賃金体系が実態とずれている……。このような会社はドライバーから訴えられたら、未払い残業代を支払うリスクが大きくなってしまいます。
     実際、相談に来られる運送会社の多くが未払い残業代の問題を抱えています。給与制度をうかがうと、社長が適当に賃金設定をしている会社、給与明細書に必要な事項を明記していない会社も少なくありません。「未払い残業代は請求できる」ということは、多くのドライバーが知っています。「○○運送会社から未払い残業代△△円を請求した」。こんな情報が、ネットやドライバー同士のSNSに流れているのです。
     未払い残業代請求でドライバーが相談する先は、労働基準監督署が多いですが、近年は弁護士に直接駆け込むケースも増えています。残業代の未払いの事実があれば、どんな事情があれ、支払わなければなりません。「仕事が多い月は、給与を多めに払っているから大丈夫」「昔からこれでやってきて、トラブルはなかったから大丈夫」と話す社長もいますが、昔ながらの義理人情がすべてのドライバーに通用するとは限りません。


     また、古参のドライバーだから安心とも言い切れません。「先代には世話になったけど、二代目には義理はないよ」と、代替わりした途端に残業代をまとめて請求してくるケースもあるのです。さらに、ドライバー本人にはそのつもりがなくても、配偶者や親など家族が残業代請求についてドライバー本人を焚きつけるケースもあります。
     これが今、運送業界の抱える未払い残業代問題の一端です。正しく残業代が支払われていない場合、過去2年分にさかのぼって未払い残業代を請求することができます。
     労働時間の管理を行っているつもりでも甘さがあったり、給与制度で対策をしているつもりが不十分だったりするケースが非常に多くなっています。自社の残業代支払いが本当に通用するものかどうか、今一度見直しする必要があるでしょう。
     労働時間の定義を行い、労働時間を管理し、賃金制度を整備して運用する。これらを適切に行えば、リスクは最小限に食い止めることができるのです。
    (保険サービスシステム株式会社・社会保険労務士・馬場栄)

     
     
     
     
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  • 筆者紹介

    馬場 栄

    保険サービスシステム株式会社 社会保険労務士


    年間約300社の経営者の相談・アドバイスを行っている。中小企業の就業規則や残業代など、幅広い労務管理のアドバイスに高い評価を得ている。

     
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