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  • ブログ・馬場 栄

    第97回:「荷待ち時間」の実態

    2017年1月19日

     
     
     

     運送業は長時間労働になりがちですが、その要因の一つとして荷待ち時間が考えられます。この時間をなんとか短縮したいというのが、多くの社長の本音ではないでしょうか。しかし、荷主からの無理な時間指定があっても、従わざるをえないのが多くの中小運送会社の現状です。荷待ち時間は原則「労働時間」にあたるため、荷待ち時間が長引くと、労働時間も自然と長くなってしまうのです。
     とはいえ、荷待ち時間は全て労働時間と認識されてしまうのでしょうか。たしかに、荷出しの時刻は分からないけれど、指示があればすぐに荷出しをするように待機している時間は、明らかに「労働時間」です。一方で、荷出しの時刻までは車を離れることができるような自由な時間があれば、その時間は「実質的な休憩時間」として扱ってもいいかもしれません。荷待ち時間は、スマホをいじったり、コンビニに行ったりと自由に時間を使えることが多いのも事実です。ただし、争いになれば会社は『休憩時間』の証明が難しくなります。本当に車を離れてもいい状態だったのか証明が難しいからで、『荷待ち時間』と『休憩時間』の境目が非常にあいまいになってしまいます。


     そのことをあらためて考えさせられる裁判がありました。関東地方のある運送会社を相手取って、社員4人が未払い残業代の支払いを求めて訴えたのです。第一審で労働者側が勝ち、地方裁判所は会社に対して付加金を合わせて4200万円を支払うように命じました。裁判での争点は、「荷待ち時間は、休憩時間か労働時間か」という点でしたが、結果は「労働時間」という判決が出ました。裁判所は、「ある程度の自由はあるが、荷待ち中も積み込みや積み下ろした荷物の管理などでトラックを離れられない」のは、自由がない状態であり、つまり実態も労働時間だと判断したのです。
     理想的な対策は、荷待ち時間と休憩時間を明確に区別する基準をつくることです。しかし簡単に区別できれば苦労しません。手近な対策として、トラックを離れられるような荷待ち時間では、社員にアイドリングを切らせることです。少なくとも車両が動かない状態だと分かり、実質は休憩時間と言えなくもありません。ただし、荷物の種類によってはアイドリングを切ることが難しい場合もあります。
     荷待ち時間という観点のみで考えると、すぐさま長時間労働を解決できる策を講じることは難しいのが実態です。その他の労働時間管理、または残業に対応できる給与体系の作成と複合的に長時間労働に対する対策を行っていく必要があります。
    (保険サービスシステム株式会社・社会保険労務士・馬場栄)

     
     
     
     
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  • 筆者紹介

    馬場 栄

    保険サービスシステム株式会社 社会保険労務士


    年間約300社の経営者の相談・アドバイスを行っている。中小企業の就業規則や残業代など、幅広い労務管理のアドバイスに高い評価を得ている。

     
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