企業の事業拡大や業績を伸ばす順番に、「一点突破、全面展開」という考え方があります。まずは、ある一点に絞り（特化し）突破口を開き、他方にも展開していくという意味です。
　もともとは孫子の兵法が起源といわれていますが、今では経営において、ランチェスター戦略や船井総研でも広く使われています。
　先日、弊社主催の物流企業様向け勉強会ＦＬＳで、北海道で鉄の輸送を行っている丸吉運輸機工様にゲスト講演していただきました。同社では、まさにこの「一点突破、全面展開」ということを忠実に実行され、売り上げを伸ばされています。

　以前から〝鉄〟というものに焦点を当て、鉄の輸送に注力されていましたが、そこからさらに絞り込み、近年では鉄に関する事業以外のことはまったく請けないようにされたそうです。そうすることで、鉄に対する専門性を評価され、輸送だけでなく請負や加工の仕事も依頼されるようになり、結果的に売り上げを伸ばし続けています。
　講演の中で特に印象的だったのが、『絞り込みとは「自社に合わないお客様を作る」』というフレーズです。非常に的を射た表現だと思います。
　「戦略とは捨てること」ともよく言われていますが、やらないことを決めることが重要なのです。絞り込むということは、売り上げが一時的に下がったり、選択肢を狭めたりするので勇気のいることだと思いますが、結果的に認知度・専門性を高めます。
　近年の時流として、サービスごとに別々の企業に委託するよりも、手間を削減するために、ワンストップアウトソーシングのニーズが高まってきていますので、より一点突破、全面展開を意識して、まずは力相応に絞り込まれるとよいでしょう。
（船井総合研究所・河内谷庸高）
☆船井総研が運営する物流ビジネス情報サイト「http://www.ecologi.net」
※記事は14年5月の記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。