-
ブログ・船井総研ロジ
第286回:KPIを絞る
2015年2月9日
先日、トラスコ中山様の物流センターを視察する機会がありました。
トラスコ中山様は、機械工具や作業用品などのプロツール(工場用副資材)の卸売企業で、創業以来右肩上がりで成長を続けられています。機械工具の卸としては最後発であった同社が、競合他社との差別化として、(1)商品力(2)物流力(3)情報力(4)全国力、の四つの要因を掲げています。
その中の物流力ですが、商社や販売店からの注文に対し、「即日・翌日配送」を実現されています。工場や作業現場では、一つの部品や工具がないだけで現場が止まってしまうため、即日配送というサービスはエンドユーザーから支持を得て、業績を伸ばされています。
この即日納品体制を実現するために、KPI(重要業績指標)を在庫〝出荷率〟に定め、社内周知徹底されています。取り扱いアイテム数が100万点以上ある中、在庫出荷率は90%超といわれていますが、そのポイントは、KPIを一つに絞っているということです。
一般的な卸や物流センターでは、在庫〝回転率〟を重要視している企業が大半でしょう。しかし、同社では一番の売りである即日配送を実現するために、在庫回転率はまったく無視しているのです。回転率を指標に掲げると、どうしても効率を考え、あまり動かない在庫は持たないようになり、その結果在庫出荷率は下がってしまいます。
管理指標が複数あり、かつその指標がトレードオフの関係であれば、必ず現場は混乱します。どちらを優先させるべきか判断に迷うためです。
そこで、トラスコ中山様では、強みをさらに伸ばすためにKPIを一つに絞り込み、経営戦略から現場の動きまで、一貫性を持たせているのです。KPIを絞ることでやることを明確にし、ブレない経営を実現されている好例です。
(船井総合研究所・河内谷庸高)
☆船井総研が運営する物流ビジネス情報サイト「http://www.ecologi.net」
※記事は14年10月の記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。この記事へのコメント
-
-
-
-
筆者紹介
船井総研ロジ
本コーナーでは、船井総研ロジ株式会社による リレー連載を掲載します。
ズバロジ!http://www.ecologi.net -
「ブログ・船井総研ロジ」の 月別記事一覧
-
「ブログ・船井総研ロジ」の新着記事
-
物流メルマガ