エン・ジャパンが退職者５万人を対象にとった「退職理由アンケート」の結果によると、会社（人事）に伝えた退職理由と本当の退職理由には大きな隔たりがあるようです。
　同アンケート結果では、会社に伝えた退職理由のトップ３は、（１）家庭の事情（３２％）（２）仕事内容（２５％）（３）体調（１１％）となっています。しかし、本当の退職理由のトップ３は、（１）人間関係（２６％）（２）社風や風土（１８％）（３）仕事内容（１６％）となっています。
　家庭の事情が本当の理由だった人はわずか３％という結果で、本当は〝人間関係〟〝社風や風土〟〝仕事内容〟で全体の６割を占めています。

　ある運送会社様では、本当の退職理由を把握するために、退職者アンケートというものをとられています。退職が決定してから最終出社日までの間に実施しており、病気や、やむを得ない事情の場合を除いて、回収率は１００％とのことです。
　そのアンケートでは、想定される退職理由を５０個近く列記しており、当てはまるものすべてにチェックしてもらっています。自由記入や直接のヒアリングだと、本当の理由を言うことを憚られる可能性があります。しかし、複数選択形式にすることで、あまり抵抗感がなく、当てはまるものにチェックをしてもらえ、本当の退職理由が見えてきます。
　そして、この退職者アンケートをもとに四半期に一度、会社として対策すべき点、営業所として対策すべき点などに分けて、改善に向けての打ち合わせを行われています。その結果、２年前と比較して、離職率は３分の１にまで減少されたそうです。
　課題を解決するためには、その問題・要因を正確に把握しないとミスリードしてしまいます。つまり、定着率を高めるためには、まずは退職する本当の理由を正確に把握することから始めてみてください。
（船井総合研究所・河内谷庸高）
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※記事は15年2月の記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。