未曾有の人材採用難の現在は、求職者の応募とは違う接点を持つことも検討すべきです。つまり、今すぐ面接を受けたい人だけではなく、まだ物流業界や自社に興味を持ったばかりの人もターゲットにするのです。具体的には、会社説明・見学会を開催することです。
　これは、新卒採用では、よく行われているイベントです。しかし、現場職（ドライバー、倉庫作業員、整備士など）の中途採用では、あまり行われていません。
　しかし、今は転職希望者にとって転職先の選択肢が多くあります。よほどの会社でなければ、わざわざ受けに行く必要性を感じません。よって、申し込みのハードルが下がる会社説明・見学会は有効な手段なのです。「運送会社って、どんな雰囲気？」「トラックの仕事って、どんなの？」「△△運輸さんって、よさそうな感じだなぁ～」といったように、ふわっとした興味の人を拾えます。

　会社説明・見学会の参加者募集のポイントは、採用広告の狙いをしぼることです。面接希望者を募集するのではなく、会社説明・見学会の開催日時と場所を明記し、そこへの参加申し込みのみをうながします。そして、「ご希望者は本会終了後、面接会にご参加いただけます」と付記します。狙いは一つにしぼった方が、表現に一貫性を持たせることができ、見た人に行動を起こさせやすいからです。
　例えば、宮城県のＳ運送社は初めての会社説明・見学会を３日間開催し、「はたらいく」と「求人ジャーナル」、ハローワーク、自社ホームページを使って、合計５５人の参加者を得ました。そのうち、９人をドライバーとして採用しています。成功のポイントは、前述のとおり、狙いをしぼったことです。
（船井総合研究所・橋本直行）
☆船井総研が運営する物流ビジネス情報サイト「http://www.ecologi.net」
※記事は16年1月の記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。