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  • ブログ・花房 陵

    物流現場の本当のようなウソ話

    2008年4月7日

     
     
     

    ●物流は経営戦略の要であって、極めて重要である。従って処遇等もしかるべき扱いを受ける。
    確かに航空機のパイロットや外航船の船長は、破格のお給料と退職後にゴールデンパラシュートっていうほどの経歴を持って、関連会社にお勤めすることができますが、これはタレントになる確率とほぼ同じ。体で稼ぐガテンな職業っていうのは、腕に技があれば1日3万円の大工さんから5万円の歯科技工士までありながら、物流マンの最高年収は700万かそこいらのはず。
    年齢の20倍年収はちょっと厳しい。大事大切価値ある仕事、と呼び声は日に日に高くなるのだけれど、待遇はまだまだ。トラック運転手、物流倉庫勤務となれば、もの言わない機器や在庫と悪戦奮闘しながら疲れるばっかし。会社の訓辞では極めて重要で君以外にはなし得ないって、言われてもね。
    ●物流管理の目的は、コスト削減である。だから、効率を徹底的に追及するのが責務である。
    物流コストが高いって言うじゃなぁ~い。それって、企業の収益が低すぎるからで欧米基準にならえば、経常利益率をもっと高めに誘導すればいい。稼げない企業は合併したり、統合したりして高率経営をしなくてはね。
    売上高比5%が高い、って言うなら広告宣伝費や交際費はどうなっているの。およそメーカーなら、マーケティング費を広告宣伝費、リベート、割り戻し金、使途不明(交際費)として5%使うのはたやすい。アメリカだって同じ程度で日本が高いのは高速道路などの公共料金ですから~。
    そもそも、物流コストはお化けのようで誰も正確には知らないはず。支払い運賃、支払い保管費が高いなら、物流活動と言える商品管理、生産計画、ITシステム、仕入部、営業部の受注担当の合計人件費の方が遙かに高い。およそ支払い費用と同額が社内で使われ、たちの悪いことにミスやクレームで忙しくて残業代がバカになりません。
    物流費用は生産に必要な原材料の手配費、販売に必要な営業費、会社の財産である商品を雨風からよけるために保管する保険料であって、訳あってかかる費用だから高いというなら、訳を変えよということです。確かに、小さな得意先のわがままを聞くために、多頻度少量の配送を毎日積み上げれば、これはバカにできない。
    営業や工場の都合で在庫が膨らみ、倉庫が狭くなって新しく借りればこれもムダ。コストが下がると言われて導入した情報システムが、毎年保守や機能向上のために追加でお金がかかり止まらないのも、これもムダ。物流マンが無駄遣いしてるわけではないので、声を大にして言うべし。
    「物流コストを使っていることを知りながら、販売をしよう。生産をして欲しい」「その商談、物流費を引いたら儲かりますか」これで決まりです。

    ●物流にはいつでもムリムラムダがあり、効率化こそ改善の基本。

    倉庫のレイアウトを変えれば、歩行動線が短くなって作業効率が高まる。デジタルピッキングシステムを入れれば、集品効率が倍増する。配送計画システムを導入すると、少ないトラックで配送が終わり効率化する。フォークリフトがもっとあれば、荷受け作業効率が高まり全体のコストが下がるパートさんに教育を施せば、作業効率が高まりおしゃべりがなくなる。
    効率話しはいつもあり、日々語られて終わることがありません。けど、ほとんどはウソです。1部門、1チーム、入荷業務、出荷業務、配送、事務処理、伝票、物流作業の一つを懸命に効率アップを計ると全体への影響はほとんどありません。
    効率化したチームに余裕が出て、おしゃべりするか、ヒマ持ちになるだけで、全員が早帰りしたなんて話しは一切聞きません。つまり、効率化は時短でもなければ、コストダウンでもないです。高速道路の渋滞の先頭のさき、って感じです。
    下手に効率化を部分で行うと、全体の速度が変わらずに、ヒマな部署ができます。このことをTOCの理論が懸命に4冊の本で紹介しているのに、現場で活用できていません。(最近はコストダウンなんてヤメロ、と過激です)
    ●物流情報システムはコストダウンに劇的効果を生み出す。
    言うのは勝手、宣伝も半分は正しいかも。でも、システムを導入する時のコストダウンっていうのは、省力化効果であって、今100人の現場に導入すると50人で済むようにはならないのです。もし、20人減ったらそれはシステムのせいではなく、仕事が整理されたからです。
    手書き伝票が自動印刷されても、10人は減りません。さらに具合の悪いことに、50人分の仕事をこのシステムがするというのに、50人*数倍の導入費が掛かるのはなぜ。導入したら、混乱で増員しなくてはならないのはなぜ。来年は予定外の経費を欲しがるのはコンピュータではないはずなのに、予算が必要と言うのはなぜ50人分の人件費が減ったことを証明できないし、導入前に戻すこともできないから、やっぱりこれは話半分の宣伝だったと笑う人がいるのが現実。
    ●物流アウトソーシングはコストダウンのためにするのだ。
    倉庫内作業を自社でやろうと他社がやろうと、人件費の時間給換算では一緒でしょむしろ、他社が始めればマージンも掛かるし、慣れないから間違えるし、予備要員も必要だし、見積書が安くなるのは営業の常套句。後で値上げするんだ。
    むしろ、自社物件や自社トラック、自社で募集した要員の面倒を見ていた間接部門の部課長さんが無用になることは、確かに劇的コストダウン。来年も再来年もいらなくなるモンね。アウトソーシングは3年で帳尻を見ましょう。

    ●3PLは究極のビジネスだ。

    倉庫もトラックも持たずに他社の物流を面倒見るなんて正気とは思えません。いざというとき、バーゲンの時、中元歳暮の時に場所あるの、トラックあるの、人数は大丈夫、やっぱり苦労してるじゃない。新しい会社案内用のキャッチコピーだったのね。提案書は良かったね、コクヨの見積書は薄くて破れやすいから、プラスのファイルでバァンと響く書類が気持ちいいもの。

     
     
     
     

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  • 筆者紹介

    花房 陵

    イーソーコ総合研究所 主席コンサルタント
    コンサル経験22年、物流から見た営業や生産、経営までをテーマに 28業種200社以上を経験。業種特有の物流技術を応用して、物流 の進化を進めたい。情報化と国際、生産や営業を越えたハイブリッド 物流がこれからのテーマ。ITと物流が一体となる日まで続けます。

     
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