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  • ブログ・花房 陵

    共同物流を考える人

    2008年5月26日

     
     
     

    ○物流コストは企業にとって経常利益に匹敵するものです。売上高に対する比率が3%~10%と莫大なものです。もし、物流コストを上手に削減できれば、それは利益貢献に直接つながります。今、企業は必死でコスト削減を訴えます。物流でビジネスを行う企業もあれやこれやで、コスト低減をセールスポイントにしています。本当に安いコストでより高いサービスを提供できれば良いのですが、実態はかなり無理をしています。不自然なことをやろうとしています。ダンピングや低賃金労働者の酷使(パートの尋常でない使い方、外国人の無茶な採用など)値下げのための悪知恵工夫が行われています。
    ○もともと物流コストは、「物流にかかわる費用」ですから、運賃・家賃・作業費・資材費などの外部へ”支払う費用”のほかにも、管理者人件費・コンピュータ関連費などの”内部で給与になったり、勘定科目上では良くわからない費用”も含まれますところが、この内部コストの把握はとても大変な作業を伴うために、後処理扱いやそれば別として・・・・となる企業がとても多い。
    ○反面に支払い費用は、外注費、仕入れと同じように毎年厳密に記録比較できるので、悪く言うと「下請け泣かせ」をどの企業も恥らいなくしています。物流を請け負っている「下請け企業」では、合理化の促進ではなく、利益の圧縮や従業員賃金の抑制によって”泣く泣く”値下げに応じていることが多いのですが、何年も続けての値下げにはさすがに音を上げてしまいます。
    また支払い費を値下げさせたのに、荷主側では何の工夫も変革もしなかったために内部管理費用や営業経費が逆に膨れてしまうような、逆相関もあるようです。
    ○コストはすなわちサービスの対価ですから、一般には値下げはストレートにサービスの低下を予想できるのですが、荷主はこれを許しません!(不合理だなぁ。老舗に安くてうまい高級フランス料理を無理に要求するようなものなのに)ここにきて、物流会社も音を上げ始め、倒産企業も見え隠れするようになると、荷主側も慎重にならざるをえません。しくみ全体を見直したり、上述の内部コストの削減要素を検討するためにはどうしても、担当者レベルでは限界があるので”物流コストダウンはトップダウンで貫徹せよ”なんて、スローガンが登場するのです。まさに生死をかけた収益改善がどの企業でも取組中です。
    ■コスト削減の視点は本当はこの順序
    荷主や下請け物流会社にとって、双方が縮小であれ、現状維持であれ均衡経営を続けるためには、「魁より始めよ」が原則です。
    1)内部コスト削減の効果は永久に効くので、(業者の切り替えや交代は自由だが、自社は内部から変貌する以外にない)物流にかかわる人件費、情報システムの費用、伝票その他の印刷物、社内の情報の流れの無駄の発見など、改善項目は数百にわたるチェックポイントで整理できます。
    2)不自然なコストを見つけ、理由をはっきりさせる。
     ・倉庫の広さは在庫や物量に比例しているか→年中同じ広さはおかしい
     ・運賃は実態に合っているか→料金表ではなく、少なく速い場合は高くて、多くて遅い場合には安くなるようにしてあるか
     ・作業料金は本当に人件費か→仕事の生産性や無料奉仕業務をやらせていないか
     ※物流費は売上高に比例する”変動費”であれば経営上は一応安心できます。
    3)本当の省力化、高度化に情報システムやマテハン機器を利用しているか。
    ■アクティビティーベースドコスティング(ABC分析)が必要
    □千葉県市川市。大きな物流倉庫が並んでいます。輸入貨物や食品、衣料品、雑貨などの物流センターが、パートさんやバイト君の引き抜き合戦を行っています。湾岸高速では午前午後ともに渋滞を繰り返します。
    □アパレル配送ドライバーがある時残業を終えて帰る時私に話し掛けてくれました。
    『俺は入社したてで生意気なことは言えないんだけどぉ、ここいら近辺の会社のトラックって、みんな習志野ナンバーなんですよー。女の子のドライバーもいるんですけどぉ、しょっちゅう首都高で出会うことって不思議に多いんですよぉー。同じ市川から出発して、帰ってくるのも市川で、時間もほとんどいっしょ。これって、荷物もいっしょにしたら、トラック1台で済むんじゃないかなぁ。会社が別だから仕方ないのかも知れないけどぉ,無駄ですよネェ。俺もいっつも同じ商品運ぶより、色んな店に色んなもの運んだ方がおもしろいんですけどねぇ。』
    □小さな声を取り上げて、ヒントをチャンスに変えることができるビジネスマンは勇気が必要です。でも、企業グループの社長会でなくても、共同配送を仕掛けている人を発見しました。
    「こうすればこうなるという、試算とデータ分析は終わりました。同じ方面に向かっているトラックや納品先も調査して、○%の配送を共同化できると思います。」「けれど、物流の共同化は、お見合い結婚みたいなもので、写真や釣り書きでは、気に入っても、仲人がしっかりしてないと、うまく行かないんです。今、誰が仲人役を引き受けてくれるのか、真剣に探しているところなんです」
    ○あれれ、ここでも無駄な手待ち状態が発生しています。
    このコストアップ分は、いったい何処で誰が負担するものなのでしょう。

     
     
     
     

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  • 筆者紹介

    花房 陵

    イーソーコ総合研究所 主席コンサルタント
    コンサル経験22年、物流から見た営業や生産、経営までをテーマに 28業種200社以上を経験。業種特有の物流技術を応用して、物流 の進化を進めたい。情報化と国際、生産や営業を越えたハイブリッド 物流がこれからのテーマ。ITと物流が一体となる日まで続けます。

     
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