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  • ブログ・花房 陵

    物流事故はなくせるか?

    2008年4月25日

     
     
     

    ●物流事故は繰り返される しかも連続して
    物流現場では毎日が火事場だと言う人がいます。事故の連続と慌しさの毎日を指しているのです。本当に毎日が瞬間瞬間の出来事が続き、時々悪い事故が起きるとなぜか、連続して起きて天をうらやむ事がありますね。
    偶然とは、航空機事故や大火災のようになんとなく連続して起きるものだと論じた人もいます。(柳田邦夫 巨大事故の現場)
    ところで、物流作業の事故にも色々ありまして、時々がっかりするのが出荷ミスや商品違い、数量数え間違いですね。こんなミスは、営業から炎のような電話が入りますから、担当者は平身低頭で謝ればなんとかお許しを願えるもの。そしてお得意様へ「お詫び状」をこっそり封入したりすると、誠意ある対応とかで誉められたりすることもあります。
    また、翌日以降のこのお得意様への出荷作業では、念入りな検品を施して再発を防止すれば、職場の緊張感もまた高まるものです。失敗は成功の母 とは、こんなことでしょうか。
    作業のミスとはいえ、器物や商品を破損したときには割と大きな問題になります。フォークリフトで貨物を落としたり、棚を打ちぬいたり、壁を突き破ったり、びっくりするような事故も人身事故につながらなければ、やはり日常茶飯事なのでしょうか。
    安全を最優先、第二にお客様への奉仕というスローガンをよく見かけます。
    ならば、安全向上の為の何がしかが行われているかというと、掛け声ばかりで実態がないのにも困りものです。安全や事項防止は、どのような手段で押さえ込むことができるのか。どんな施策が効果的な安全向上につながるのかを、考えてみましょう。
    ●掲示やスローガンと習慣付け
    全世界に幸せを とか、交通安全、駐車厳禁など、見れども見えず、語れども聞かずというように、お題目とは声ばかりのことを言います。返事だけが見事な新入社員ではありませんが、言うだけ、読むだけ、話すだけで何かが変わるわけもなく、掲示とスローガンで心底から感じ入ることなどありません。
    掲示物やスローガンが直接行動に現れるのは、通常行動が習慣になっているときだけです。
    たとえば、JRや私鉄のプラットフォームでは「安全確認、指差し呼称」が大原則になっています。誰でも、どこでも、いつでも体に染み付いています。だから、スローガンや掲示物が意味を持つ。習慣こそが安全対策のために、身に付けなければならないことなのでしょう。
    ヘルメット、安全靴、右見て左見て前へ進め ・・・。こんなことから習慣付けられているのに、作業の基本動作だけが訓練も練習もされていないことがあります。これって、どこかおかしいと思いませんか。
    フォークリフトを利用した貨物のハンドリング、棚入れ、搬送、急停止、・・・
    時々は運動会よろしく競技会を開いたりしている現場では、やはり事故は減ります。
    ●ガラス瓶のピッキング
    手が滑らないようにとの親心で、滑らない手袋をつけた物流現場より、ケースピッキングの「腰の入れ方、足で持ち上げるコツ」を練習している現場のほうが、はるかに破損事故が少ない。
    商品の取扱にもコツや熟練、経験が物を言うときがあります。製造工場では「ひじが動いた、動かない」という作業の様子が、生産性と時間に影響するといって、かなり詳しく基本動作を訓練します。手の早い人と遅い人、最初に訓練しておくことで「標準作業の意義」があるものです。
    ●減点主義で注意力が上がるのか
    物流現場の事故対策に、注意、訓戒、指導、罰金、・・・という個人減点がありますが、「ミスや事故はいつも同じ人」なんていうこともあるように、物流事故は個人の問題なのか? という、命題があります。どうも誰かが証明できたような口ぶりで、事故は偏って起きていると話します。ピッキングでも搬送でも、事故の件数は誰かに集中しているみたい。果たしてそうか。発生率はどうなのか。たくさん仕事をこなしているからこそ、時々の事故が目立つのではないか。
    残念なことに、物流業務報告書に月間の事故回数を名前入りでグラフ化している現場がありました。回数よりも発生率ではないか、個人よりチームを母数にするのが正しいでのはないか。
    回数で叱責するなら、進んで手を出すことが減ります。意欲も隠します。事故防止は、座して黙すれば何事も起きなくなります。ソレではいけない。
    ●注意、集中力より自然体が何より
    交通安全の指導プロは、事故のフィルムを見せながら「ここでは起きやすいと知るだけで十分。変に意識したり、注意したりすると緊張する。こわばる、動きが鈍くなる」といいます。「自然体で意識せよ」と指導します。
    自然体とはもちろん、基礎動作の訓練があってのことです。作業はトレーニングすることで、ムダな動きや無理が無くなります。緊張も疲労も軽減されます。
    物流事故のほとんどが確立論で比べられるなら、するべき事はトレーニングに尽きます。それをしないのは、人為不足です。事故当事者の過失ではなくチームワークの無為が原因です。
    ●事故対策委員会は、演習大会を企画したら
    軍隊の懲罰委員会よろしく、損害事故が起きると原因対策、犯人の証拠固めに身を引き気味の活動を始めます。それでいて再発防止の対策をお題目のように宣言して終わります。
    これは絶対に意味がない。個人を責めても環境を補強しても、技量は上がりません。自然体にもなりません。むしろ恐怖の緊張だけがしばらく続き、そして忘れられていきます。
    競技大会をしましょう。笑いとガッツポーズの基本動作大会を行えば、動きが上がります。必ず事故率がさがるものです。効果的な対策とは、行動なんですね。

     
     
     
     

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  • 筆者紹介

    花房 陵

    イーソーコ総合研究所 主席コンサルタント
    コンサル経験22年、物流から見た営業や生産、経営までをテーマに 28業種200社以上を経験。業種特有の物流技術を応用して、物流 の進化を進めたい。情報化と国際、生産や営業を越えたハイブリッド 物流がこれからのテーマ。ITと物流が一体となる日まで続けます。

     
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