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ブログ・高橋 久美子
第137回:まじめな会社が倒産する時代
2012年10月16日
日本経済全体が右肩上がりに成長していた時代には、我々のような中小の運送会社も、「規模の拡大」を目指して事業戦略を進めていました。トラックを増やすこと、ドライバー雇用を増やすことなど、規模を大きくすることが正しい戦略だったのです。
運送会社だけでなく、ほとんどの荷主企業の業績も伸びていました。「共に成長」とか「共に栄える」といった言葉がしっくりきた時代です。荷主と共に、我々運送会社も成長することができました。
ところが、経済成長がストップした現代は、そうはいきません。規模を大きくすることは、もはや正しい戦略とはいえません。むしろ時代に逆行した、やってはいけない戦略です。
現代にも拡大路線で成功している人がゼロなわけではありませんが、この時代に拡大路線で成功できる経営者は、優秀なスーパーマン経営者と言わざるをえません。なにしろ現代は、中小運送会社のほとんどが赤字経営なのですから。トラック20台以下の運送会社に限っていえば、およそ9割が赤字経営です。ダメな経営者が多くなったということでしょうか? いえ、そうではありません。むしろ逆です。サンダル履きでポケットに手をつっこんで歩くドライバーはいなくなりました。トラック5台の運送会社でも、ドライバー教育をしっかりしています。きちんと制服を着て敬語が使えて、あいさつができるドライバーが増えました。
それなのに、9割が赤字で倒産しています。つまり、なまけている運送会社が倒産しているだけでなく、まじめに頑張っている、普通の運送会社が倒産する時代だということです。これは何も運送会社だけに限ったことではありません。建設業・飲食業・宿泊業などを見ても、同じように、次々に倒産しています。
では、このような時代に、我々のような普通の経営者は、いったい、どのような戦略で生き延びていけばいいのでしょうか?この記事へのコメント
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筆者紹介
高橋 久美子
あなたの会社が儲かっていない本当の理由
規制緩和により、夢大きく独立開業した運送会社の社長たち。その社長さんたちが、規制緩和後の業界環境の変化により、今、とても厳しい状況に立たされています。経営不振の影響によるメンテナンスの不備も懸念され、それが引き起こす悲惨な交通事故も、連日ニュースで報道されています。このような危機的状況を受け、中小規模運送会社の根本的な経営改善と救済を目的として発足したのが、私たち「全国中小規模運送会社 経営改善推進委員会」です。
全国中小規模運送会社 経営改善推進委員会 -
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