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    経営再生物語(309)人材育成について(14)A社の事例(1)

    2020年10月19日

     
     
     

     ・関西商法に学ぶ

     

     深刻な不況局面にある。経営コンサルタントとして日々経営者の方々から「売れない」悩み、相談がもちかけられる。企業は人なりである。

     経営の基本は人材育成である。今回は、関西商法といわれているマネジメントのやり方の中での、人づくりのノウハウについてとりあげてみたい。

     ・「扇子商法」に見る人材育成の考え方

     「扇子商法とは、いつも開いてあおぐ扇子ではなく、ふだんはピタリとたたんでおく扇子。経営のポイントは、不況時に合わせて好況の時も〜人を増やさない、借金をしない〜と扇子をしめておく」。

     これは″ある船場商人の遺言″という副題のついた本の紹介文である。作者は和田亮介という人で、祖父である和田哲という船場商人の語録をまとめたものである。この中から、人材育成についてなるほどと思わせる箇所を5か所ピックアップして、私なりに解説することとする。

     ①「社員教育は、まず形(お辞儀と挨拶)から入る。商人にとって一番大切な、感謝の気持ちを相手に伝える手段は、この2つ。次が掃除。暗いうちから向かう三軒両隣の店先を掃き清める。人は居によって整えられ、居は人によって定まる」。

     正にこの通りである。人材育成の基本である。″形をつくって魂を入れる″のが鉄則である。

     ある中堅企業の社長(運輸業)は、挨拶の徹底によって職場風土を明るくし、現在では自己資本比率80%というすばらしい内部留保のある企業へと成長させた。毎朝、来る日も来る日もタイムカードの前に立って、出社してくる社員に大きな声で「おはようございます」といって、はじめは「社長は狂ったか」とまで社員に思われながら実践して、完全に一人ひとりが挨拶できるようになった。そして、毎朝の朝礼の中で、車の点検と掃除をとりいれて、社員一人ひとりに愛車心を育んでいった。

     いわば5Sの実践である。5Sとは整理、整頓、清掃、清潔、しつけのことである。          つづく

     
     
     
     
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  • 筆者紹介

    川﨑 依邦

    経営コンサルタント
    早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
    63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
    中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
    グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。

    株式会社シーエムオー
    http://www.cmo-co.com

     
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