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  • ブログ・川﨑 依邦

    経営再生物語(348)小集団活動のすすめ方(7)―1

    2021年9月13日

     
     
     

    なぜ小集団活動は企業に活力をもたらすのか。それは人間性にマッチしているからだ。人間は誰しも、責任を持って思い切ってやれとの職場風土の形成で甦り、生き生きとする。職場風土の形成にとって小集団活動は、一人ひとりの心のつながりを育み、コミュニケーションをスムーズにさせるので、大変有効である。

    〝寄らば大樹のかげ〟〝親方日の丸〟といった大組織によりかかり安住していては、本当の意味で人間能力は向上しない。小集団で一人ひとりが責任を持ち、「自分がやらねば、誰がやる」といった緊張感があってこそ活力は生まれてくる。したがって、経営者の仕事の一つは、こうした緊張のある職場環境作りである。

    そのまず第一歩は何から始めるべきであろうか。それは、人間づくりを決意するところからスタートする。業績を良くしようと思う、それ以前に人間性を豊かにするにはどうしたらいいか、じっくりと考え、実行せねばならない。こうした発想が基本にあって人間は育ち、やる気を出していくのだ。

    したがって、それぞれの中小企業は、特色をもって人間づくりに立ち向かっていくことだ。A社はビルの清掃業で大手のフランチャイジーであり、人数12人である。B社も同じく清掃業で10人の会社である。A社とB社を比較することで、人間づくりを目指す小集団活動の大切さを明らかにする。

    B社は、実は私が事務所にしているビルの清掃をしている。ある朝、ビルの前で赤旗が立っていた。「何のことかいな」と思って配布されたビラを読んでみると、清掃員を中心とした組合結成文であった。「私たちは平均年齢65歳、賃金も安く、休みもとれなくて、組合結成をしたらクビにされました。経営者の○▽一族は、私ら高齢者をボロクズと思っています」。

    私が入居しているビルにはB社の本社がある。支援の労組が数十人集まって「○▽一族は、不当労働行為をやめろ」と、ビルの前でシュプレヒコールを繰り返している。

    私は、不信うずまくB社と違うA社の経営のあり方を、シュプレヒコールうずまく中で想起した。A社の経営理念は次の通りである。

    「一日一日と今日こそは 私の人生が 新しく生まれ変わるチャンスです

    自分に対しては 損と得とあらば損の道を行くこと

    他人に対しては 喜びのタネまきをすること

    私もあなたも 物心共にゆたかになり 生き甲斐のある世の中にすること」

    A社はこの経営理念を持つ大手(ダスキン)のフランチャイジーである。A社の社長はいう。

    「床を綺麗にみがいたり、壁を美しくするのは、どの業者も同じ。我社の作業は、そこにどれだけ特色を出せるか、それは働きさん(社員)の人間性に頼るしかない」。

    働きさんの平均年齢は60歳。お客さまである事業所(会社、ビル)に詰める専業社員である。働きさんは、依頼されたルーティンワークに留まらず、突発的に発生する要望で例えば、会議やVIPの来社などに適確かつ迅速に行動することが要求される。 (つづく)

     
     
     
     
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  • 筆者紹介

    川﨑 依邦

    経営コンサルタント
    早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
    63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
    中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
    グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。

    株式会社シーエムオー
    http://www.cmo-co.com

     
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