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  • ブログ・川﨑 依邦

    経営再生物語(355)リーダーシップについて(1)―2

    2021年11月1日

     
     
     

    創業して間もない3〜5年は、一人ひとりとよく話し合い、家族的温かさで包み込んできた。もちろん、現在もその良さは継続している。企業のスタートアップ時期のリーダーは、如何にあるべきか。それはA社長の如くである。スタートアップというより、いつもそうであるが、なによりもないないづくしの創業期は、体で示すしかない。社長が死に物狂いで働いていれば、その後姿を見て、部下はついてくる。

     

     

    A社長のところは、息子が二人働いている。二人とも大学を出ているが、親の跡を継ごうとしている。「親父のハンドルを握る姿は、子ども心にやきついています。家でも団らんということはなかったですよ。しかし、親父を助けてやりたいと自然に思ったのです」

    指導者は、後姿が大切である。言葉を変えれば、指導者の人生に対する姿勢、取り組みの真剣さがものを言うのである。大企業では、リーダーという権威で人をひっぱったり、給料の多さや待遇の良さで人は自然に集まってきてついてくる。

    しかし、中小企業ではどうであろうか。例えば中小の運送会社で働くドライバーを考えてみよう。ドライバーに何故なったかというと、車が好きだったという理由の反面、ドライバーにしかなれなかったというケースが多い。「何も好きこのんで、ワッパ(ハンドル)はもちませんよ。机の上で物を書いたり、営業の仕事が向かないからやっているんですよ」

    私が、ドライバー教育の研修を担当したときのことである。目標の大切さについてをテーマとしていた。私は研修生に問うてみた。「あなた方の夢や希望は何ですか」。いろんな夢や希望があった。例えば、早く大型のドライバーになりたいとか、もっと給料をもらって家を建てたいである。

    反面「そんな夢や希望はありません」と大半が言った。この現実を見て、こういう人達にやる気を起こすには、何が大切か考えさせられた。その答えの一つが、経営者の後姿である。中小企業を強くしていくポイントはここにある。大企業と比して何が勝てるか。このことを考えつめていくと経営者の魅力の発揮という点である。

    「毎日仕事をやめたい、やめたいと思っていた。しかし、親父の働く姿を見ると言い出せない。自分が入院して一人でベッドにいた時、毎日見舞いに顔を出してくれたのが親父だ。やはり何とか頑張ってみようと思い直した。そうすると、嫌だった仕事がある日ふと、こりゃあ面白いと思えるようになった。親父がいなければ今のぼくはありません」。これはある研修生のレポートである。

           (つづく)

     
     
     
     
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  • 筆者紹介

    川﨑 依邦

    経営コンサルタント
    早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
    63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
    中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
    グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。

    株式会社シーエムオー
    http://www.cmo-co.com

     
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