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ブログ・川﨑 依邦
経営再生物語(358)リーダーシップについて(2)―2
2021年11月22日
「給与や休みをできるだけ良くしていく努力をしてください。でも人は給与や休みだけで満足して、やる気を持って働くものでしょうか。私はそれだけではないと思っています。自分のしている仕事が面白く、やりがいがあり、人の役に立っているという充実感も大切です。自分の仕事に対する誇りとでもいいましょうか。
この充実感や誇りを一人ひとりが味わい、持っていくには、経営者の姿勢が大切です。経営するという仕事に使命感を持ってください。仕事を通じて人の役に立ち、一緒に働いている社員を幸せにするという私欲をはなれた使命感です」
この使命感を表現するには、経営目標を明らかにすることだ。3〜5年後には会社をこういう方向にすすめて、売り上げ、利益の数字はこうで、成果配分ルールはこうだとはっきりする。
「目標もなく、その日ぐらしでなんとかいけたらいい」と、もし社長が思っていたら、その会社の社員は成長欲が持てるだろうか。
トップに目の輝きがなければ、ついている社員もダラリとしている。このような企業はいずれ、没落、消えてなくなる運命である。経営目標を明示して達成の喜びを獲得すべきである。そのためには、トップは使命感を堅持することが大切である。
江戸時代、米沢藩の財政苦難を救った上杉鷹山について紹介する。米沢藩の財政難は深刻で、大名家を幕府に返上する寸前であった。鷹山は17歳の若さで引き継いで藩財政を立ち直らせた。その手法は三つの壁、すなわち、制度・物理的なもの・心をこわすことで、特に心の壁をこわすことに全力を注いだ。そのために五項目の原則をかかげた
①情報はすべて共有する
②職場での討論を活発にする
③その合意を尊重する
④現場を重視する
⑤城中に愛と信頼の念を回復する
鷹山は、使命感をもっていた。だから私心を捨てて改革の先頭に立つことができ、成功したのだ。
社長「なるほどねえ。私は人が足りない、人が足りないばかりで、経営の目的とか、使命について考えてみる余裕がありませんでした。本当に世の中や人の役に立つと確信すれば、勇気が湧いてきます。自分のことばかり考えていてはダメですねえ。働いている一人ひとりを幸せにし、地域の人々の役に立つように、使命感を心から持つことですね」
(つづく)
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筆者紹介
川﨑 依邦
経営コンサルタント
早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。
株式会社シーエムオー
http://www.cmo-co.com -
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