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ブログ・川﨑 依邦
経営再生物語(390)ビジョンをはっきりする―1
2022年9月5日
大手製鉄会社一社のみを得意先とするA社について述べることで、ビジョンとは何か、また、その大切さについて展開する。
A社は大阪にある従業員150人の会社である。仕事内容は、大手製鉄会社に対して工事部門、運輸部門、社外工部門を担当している。
工事部門とは、例えば厚板工場ロール研削盤基礎工事、転炉工場計器宣拡張工事などのいわば雑工事をいう。
運輸部門とは、大手製鉄会社の物流を担当している。社外工部門は、下請けとして、工程の一つを担当し、本工の嫌がる、危険な作業を行っている。
景気の動向で生産調整を行う場合、まず社外工部門から手をつけられる。いわば安全弁のような役割である。創業は昭和24年、一筋に尽くしてきた歴史である。
今期の年商は、約25億、経常利益は3億である。A社に私が初めて訪問した日の印象について述べる。
社屋はバラックであり、応接室のソファは色が褪せてボロボロであった。夕方の訪問であったので応接室の蛍光灯が灯っていたが、くすんでいて暗かった。
「これではロウソクの火で話をしているみたいですね」と言うと、相手の人事担当部長は「いやあ、うちの会社は質素ですのですみません」
暗い一室で面談が始まった。自社の悩みについて聞いてほしいとのことで訪問したのであった。
「お宅の財務内容はいいですね。コンサルタントの目から見ると優良企業ですよ。自己資本の比率も60%、土地もたくさん所有しておられ、含みもありますね。しかも経常利益が3億、一人当たり200万ですし、素晴らしいですね」
「うちの会社は、銀行さんに言わせると、いい会社ということです。うちの社長は、銀行さんに対してすごい信用を持っています」
(つづく)
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筆者紹介
川﨑 依邦
経営コンサルタント
早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。
株式会社シーエムオー
http://www.cmo-co.com -
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