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  • ブログ・川﨑 依邦

    一人でも入れる労働組合がやってきた(5)コミュニケーション不足で…

    2011年7月14日

     
     
     

     A社長は頭を抱え込む。何回も労働組合の要求書を読み返す。団体交渉申入書も読み返す。



     「うちの会社では無理な話だ。正直言って、どこに掲示板を置くのか。そもそも会議室もない会社なのに掲示板とは何事か。組合員に影響を与える問題(身分、賃金、労働条件などの変更)を組合と協議せよと言っているが何のことか、さっぱりわからない。私の会社のことを私が決めて、どこが悪い。組合活動について、就業時間内であっても平均賃金を保障せよとは厚かましいにもほどがある。仕事もしない人間に、どうして平均賃金を保障しなければならないのか」。A社長は考え込む。「どうして労働組合ができたのか」。

     確かに一律10%の賃金カットを鶴の一声で実施した。このところ、荷主からの運賃値引の要請がきつく、「運送屋の代わりはいくらでもいるよ」と、平然とうそぶいて運賃値引きを押しつけてくる。値引きを呑まざるを得ないが資金繰りは厳しい。取引銀行には借入金の支払いができなくなり、金利だけにしてもらっている。しかもA社長の役員報酬も60歳を超えたこともあり、今までの月額100万円の50%カットの50万円にしている。それでも毎月赤字スレスレとなっている。

     さらに燃料代もアップしている。「どうしたら運送業を続けられるか」。このところドライバーの入れ替えも激しく、この1年間で5人も退職している。総人員25人のうちの5人であるので、20%の退職率である。退職原因は何か。給料が上がらない。仕事が手積み、手下ろしできついといったこともある。果たしてそれだけだろうか。

     「ドライバーが退職したり、1人でも入れる労働組合がやってきた原因は、よくよく考えてみるとコミュニケーション不足にある」。A社長は気付く。

     このところA社長は、ドライバーと顔を合わせて声をかけて話を聞く時間を持っていなかったことに気付く。資金繰りに追われて、それどころではなかったこともある。配車担当者のA氏に任せきりにしていたこともある。A氏はドライバーとの折り合いが悪く、よく配車のことで揉めている。「嫌ならいつでも辞めろ」と強気一辺倒でA氏はドライバーを押さえつけている。ドライバーはA氏に反発する。A社長が配車をしていた時はドライバーも言うことを聞いて協力してくれた。

     「労働組合ができた原因は私にあるのかもしれない。ドライバーとのコミュニケーション不足にある。それに配車担当者A氏とドライバーの反発、反目にもあるのではないか」。

     
     
     
     
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  • 筆者紹介

    川﨑 依邦

    経営コンサルタント
    早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
    63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
    中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
    グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。

    株式会社シーエムオー
    http://www.cmo-co.com

     
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