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  • ブログ・川﨑 依邦

    一人でも入れる労働組合がやってきた(11)「3K」経営でピンチに

    2011年9月2日

     
     
     

     「うちの採用方針は『来る者拒まず、去る者追わず』です」。A社長の言葉である。試用期間の3か月でドライバーとしての適性を見極めていくこととしている。



    2─3日で突然辞めていくドライバーも珍しくない。採用したBドライバーは経験者であったので1日1万円としたが、未経験者は別である。給料は1日6000円。1か月勤まると7000円、2か月で8000円とし、3か月勤め上げると1万円といったパターンである。

     未経験ドライバーが入社して1週間で突然いなくなったこともある。6000円×6日間=3万6000円の給料が宙に浮く。「こういう場合は当然、3万6000円は払わない。突然消えたドライバーが悪い」。A社長の言葉である。「1週間は、いってみれば会社見学中にいなくなったということなんだよ」とA社長は理解している。もちろん書面、記録はない。

     いってみればA社長の経営スタイルは、勘と根性と経験の「3K経営」である。

    法律のことは頭の中をチラっとかすめても、深く気にしない。根性がある。いままでこれでやってきたという経験がある。記録に頼らない勘がある。それが3K経営である。ところが3K経営は、1人でも入れる労働組合の登場でピンチにさらされている。

     Bが1人でも入れる労働組合に走ったのは、いってみればささいなことである。会社側の強圧的な交通事故に対する損害金の請求で、「10万円も給料から引かれたら生活できない」との切実な想いがきっかけだ。そこでBは前職での労働組合の経験がよみがえってきた。労働組合のアドバイスによって仲間作りをする。日頃から会社に不満を持っているドライバーを思い浮かべる。とりわけ配車担当者A氏への不満をかき立たせていく。

     「明日は我が身だよ。10万円も給料から引かれたらやっていけないよ。それに10万円がなければサラ金に行けと言われているんだよ。酷い会社だよ」。すると「どうするんだよ」と、あるドライバーがBに尋ねる。「ここにサインするだけでいいよ。こうなったら労働組合を作るしかないよ」「労働組合を作るといっても、どうしていいかわからないよ。それに労働組合というのは怖いところじゃないか」「心配ないよ。僕に任せてほしい。ついでに賃金10%カットの話も撤回させる」。

     Bは労働組合の加入申込書に1人1人口説いてサインさせていく。Bを含めて5人がサインしたわけである。きっかけはささいなことで、間違っても資本と労働の総対決に踏み出すといった迫力、気力はない。

     
     
     
     
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  • 筆者紹介

    川﨑 依邦

    経営コンサルタント
    早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
    63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
    中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
    グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。

    株式会社シーエムオー
    http://www.cmo-co.com

     
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