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  • ブログ・川﨑 依邦

    一人でも入れる労働組合がやってきた(35)分かってもらえない「現実」

    2012年3月2日

     
     
     

     団体交渉が始まる。テーブルに着いたとたん上部団体のメンバーが話しかけてくる。「A社長、労働基準法は守らねばなりませんよ。いくら荷主のせいと言っても通りませんよ。いくら労働者が働きたいからといっても過酷な勤務をさせてはいけませんよ。A社長、労働基準法を守る意思はあるのですか」。



     A社長はのっけからの突っ込みに対して返答に窮する。「まさか労働基準法を守らないとは言わないですよね。法律ですからね。日本国憲法に労働者の権利は守るとありますよ。日本国憲法を守らないということはないはずですよね」。A社長は上部団体の突っ込みに対してうろたえる。

     確かに労働基準法や日本国憲法を守れと言われても返答に窮する。労働基準法に対して守るも守らないも?中小運送業の現実?が重く横たわっている。極端に言えば労働基準法の通り長時間労働をしない、有休もきちんと与える。この通り実行するとドライバーの現行給料は間違いなく半減する。半減する分、中小運送業の経営者に補填せよと言われると経営そのものがもたない。ただでさえアップアップしている経営の現実があるのに不可能である。自由勝手に労働時間を短縮することは、運送業にできることではない。荷主の仕事の都合で労働時間が決定されるという現実があるからである。

     こうした?中小運送業の現実?を上部団体の指導部はどう考えているのか。「労働基準法を守れ、日本国憲法を守れ」と責め立てることが労働組合運動の役割なのであろうか。A社長にしてみれば法律の番人たることが労働組合の役割ということになると不思議な気持ちがする。

     法律の番人といえば警察官がそうである。警察官と労働組合が共通しているというのも不思議である。

     そもそも中小運送業の経営者はドライバーを虐げ、絞り取り、泣かせまくっているのであろうか。A社長の実感とは程遠い。「自分の方こそ苦労している。資金繰りの辛さがある。燃料価格、タイヤ代もアップしている。経営コストも上昇している。このままだと赤字になる」。それでもドライバーの給料は下げずに、なんとか頑張っている。その分、社長報酬を50%カットしている。荷主の運賃は横ばいである。「自分の方こそ苦労している」。

     どうして上部団体のメンバーはこうした?中小運送業の現実?を分かってくれず?法の番人?のようなことを声高く言い募ってくるのであろうか。A社長はつくづく考え込まされる。

     
     
     
     
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  • 筆者紹介

    川﨑 依邦

    経営コンサルタント
    早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
    63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
    中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
    グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。

    株式会社シーエムオー
    http://www.cmo-co.com

     
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