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    経営再生物語(44)営業改革実践シリーズ12

    2014年2月21日

     
     
     

     ?ドライバーを活用した営業開拓成功の事例



     A社は車両40台、1社の荷主企業に対し100%依存している運送会社である。荷主企業は板紙を扱っており、この不景気のなか国内需要は低迷し、荷主企業に暗雲が広がる。荷主企業は、暗雲を振り払うかのごとく同業他社と合併し、経営危機を乗り越えた。

     しかし、A社にとって思わぬ経営危機が訪れることとなる。荷主企業合併によるB運送会社の存在である。B運送会社は会社規模も大きく、A社とは格差があった。A社社長は、このまま1社の荷主企業に頼っていては今後、B運送会社との競合により車両が減らされたときの影響が経営危機につながることに気がつく。A社社長は、荷主依存率削減のため新規営業開拓を決意する。

     決意はしたものの創業以来、ほとんど既存荷主以外の会社で仕事をしたことがなく、また営業そのものを行ったこともない。どこの企業に営業すればよいのか当てもなかった。A社社長はどうすれば営業先を多くつくることができるのか考え、「多くの会社に自分の会社を知ってもらう」「どんな小さなことでも仕事上での関係を築く」の2点を実践し、自社を荷主企業に認知させることとした。

     ■実践方法
     1、誰にでも簡単に会社紹介ができるような会社案内を作成する
     2、会社案内を乗務員に1日2枚、自社が配送できる商品を扱っている会社へ配布させる
     3、ドライバーに営業成績をつけ、どんな小さな仕事でも獲得できれば賞金を与える(年間表彰も行う)
     4、会社案内配布先からの電話があれば、社長及び幹部が営業を行う
     5、ドライバーの現場力を生かしていく。現場からの荷物情報をドライバーから収集していく。ドライバーは営業情報カード1枚で情報料として500円を会社がドライバーに支払うこととする。

     ■結果
     1)月平均5件のスポット便の依頼を受け、月平均2件の新規荷主企業からスポット便依頼がある。
     2)A社は現在、多くの荷主企業に認知され仕事上の関係を築くことができるようになった。
     3)この取り組みをはじめて3年目で120件を超える企業と、大小はあるが関係を築くことで営業先を見つけることができ、今では荷主依存率も85%となっている。

     この成功事例に学ぶべきポイントは、仕事上での関係を築くことで飛び込み営業より仕事獲得確率が上がる。営業先を多くつくり、多く荷主企業に認知されることでビジネスチャンスが広がる。「見込み客=営業開拓力」であることを理解することである。

     
     
     
     
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  • 筆者紹介

    川﨑 依邦

    経営コンサルタント
    早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
    63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
    中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
    グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。

    株式会社シーエムオー
    http://www.cmo-co.com

     
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