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  • ブログ・川﨑 依邦

    経営再生物語(127)経営改革実践シリーズ(2)

    2016年9月23日

     
     
     

     目標管理制度の確立(2)



     〈受け身から攻めへ〉
     A社では、ここのところ車両の代替えペースを遅らせている。車を買い替える余裕がない。償却費が年々少なくなっている。「行けるところまで行くしかない」。
     ◎あらゆる経営のコストダウン
     昇給は、ここ3か年ストップしたままである。荷主からの運賃は上がらない。それどころか、ダウンしている。こういう状況で、どこに昇給源資を見付けていくか。「昇給ナシ」が続いている。A社長も内心つらい。「まるで吹雪にあって、行手を囲まれて、ニッチもサッチもいかない状況だ。このまま凍死するか、吹雪のやむのをじっと待つしかない」。100人の社員が、まるで?八甲田山死の彷徨?をしているみたいである。?八甲田山死の彷徨?とは、大雪の中、死の行軍を行った事件である。リーダーの力で一つの隊は生き残り、もう一つの隊はさんたんたる状況で、凍死の山を築いた。
     A社長は切に願う。「生きたい」。
     高速代の節約も、徹底して実施している。「とにかく工夫せよ。一日一日の積み重ね」。乗務員が知恵を出して工夫することだ。
     A社の状態は、例えて言えば、太平洋戦争中の日本の軍隊に似ている。敗色が濃い。次々と拠点が陥落する。物資の乏しくなる。敗走に次ぐ敗走。いくら軍律を厳しくしても、突破口は見えない。A社の売り上げの90%を占める荷主からの相次ぐ運賃ダウン要求で、まさに敗走である。物資の乏しさは、コストダウンでしのいでいる。軍律は、物流品質である。
    これだけでは、いくら目標管理制度の確立といっても、迫力に欠ける。太平洋戦争中の日本軍の、むなしいスローガンみたいなものである。
     このままでは、吹雪の中で凍死…という危険が忍び寄るばかり。「座して死を待つか」。A社長は歯ぎしりをする。「これ以上、どうすればいいのか」。それには社風の抜本改革、受け身体質からの大転換。攻めていくことだ。攻めに活路を見いだす。

     
     
     
     
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  • 筆者紹介

    川﨑 依邦

    経営コンサルタント
    早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
    63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
    中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
    グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。

    株式会社シーエムオー
    http://www.cmo-co.com

     
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