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  • ブログ・川﨑 依邦

    経営再生物語(240)人材教育

    2019年4月8日

     
     
     

     1.職務等級基準書・物流品質月報

     

     「千里の道も一歩ずつ歩みて至る。山を作るも一ト簣の土よりなる事を明らかに、弁えて励精小なる事を勤めば大なる事必ずなるべし」(二宮尊徳「夜話」より)、二宮尊徳の言である。よく勤めるということは小事をおろそかにしないことである。荒廃した村々を立て直すために小事を大事にした。小事とは日掛・縄ないの奨励である。物流業の人材育成にとって日掛・縄ないとはどのようなことか。小事を積んで大をなす道はどのような道か。それは物流品質向上の取り組みである。

     ・職務等級基準書(乗務員職用)の作成、活用

     職務等級基準書(乗務員職用)の通り、職務等級基準書を作成して物流品質向上に取り組んでいる。乗務員を1〜3等級にランク分けする。

     1等級は新人を想定している。1等級に求められるものは規律=しつけである。百ぺん主義である。百ぺん主義とは繰り返し繰り返し体に染みこむまでに、規律=しつけを徹底することである。入社にあたって大きな声であいさつする訓練を行っている。この段階でイヤ気がさす新人乗務員もいる。「オレはあいさつするのが一番嫌だ。何でハンドル握るのにあいさつしなければならないのか」と言って去っていく者もいる。

     2等級が、いわば普通の乗務員である。運転業務の処理についての基本を提示している。運転日報の記入、業務処理能力、安全への取り組みなどである。習得すべき能力は記述能力、注意力、勤勉性、専門知識、責任感、正確性などである。2等級の基準を満たしているかどうか、判定している。判定方法は日々チェックして1か月で集計し、6か月単位で2等級に適しているか判定会議を開いて決定する。判定会議のメンバーは社長、担当役員、配車課長で構成している。1か月ごとの集計表を基にして行う。

     判定結果については該当乗務員の弁明の機会がある。不適となれば1等級に格下げされるからである。「どうして格下げですか」と食ってかかる者もいる。そこで判定会議のメンバーは集計結果、データに基づいてキチンと説明し納得させていく。重大クレーム、重大交通事故を起こした者は、いうまでもなく格下げされる。それに反して格上げされる者が3等級となる。模範乗務員=3等級である。2等級レベルより一段と高い業務処理能力、コスト管理、安全管理の実績が求められる。なぜ判定を6か月としているのか。1年でもいいではないかとの声もあった。ところが社長いわく「1年では長い。日々が勝負だ。スピードが求められている。良いか悪いかの判定は6か月にしよう。6か月ごとにケジメをつけよう」

     1等級から2等級に格上げされるのは、通常入社して6か月もあれば十分であるとの考えがある。6か月しても2等級になれないものは、プロの乗務員の資質がない。こうした厳しい考えで職務等級基準書(乗務員職用)は貫かれている。     (つづく)

     
     
     
     

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  • 筆者紹介

    川﨑 依邦

    経営コンサルタント
    早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
    63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
    中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
    グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。

    株式会社シーエムオー
    http://www.cmo-co.com

     
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