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ブログ・川﨑 依邦
経営再生物語(242)人材教育
2019年4月22日
1.従業員人材育成への取り組み
「荷主から見て我が社は信頼に値する会社か」︱︱物流企業トップの内省である。ここのところクレーム、トラブルが目立って増えている。入社してくるドライバーの中には働く意欲そのものが感じられない者もいる。きつく叱るとプィッとそのままいなくなったりする者や、人生に対するガッツが感じられない者がいる。デモシカドライバー、とりあえずドライバーの出現である。「ドライバーにデモなるか。ドライバーシカできないよ。他にすることないしなあ」「先行きのことはわからないけれど、とりあえずドライバーでもするか」。こうした事態に直面して従業員意識調査を実施することとした。
・従業員意識調査の活用
従業員意識調査の目的は、荷主から見て信頼される運送会社の従業員の条件について気付きを促すことにある。その上で現状とのギャップを分析し、弱みと強みについても明らかにしていく。組織風土の改善行動へと連動させていく。従業員意識調査表は、ホスピタリティサービス度合いについて質問する。ホスピタリティサービスは、A…良い印象のあいさつ B…親切で丁寧な話し方 C…キチンとした受け答え D…「声掛け」 E…明るく爽やかな接し方 F…温かみのある態度 G…清潔感のある身だしなみ H…キビキビとした仕事への取り組み I…おもてなしの気持ち J…仕事中の私語 K…マナー向上への学習意欲︱︱で構成している。別の見方で言えば、ホスピタリティサービスは心の再生、ソフト面について質問している。質問は本人(従業員)と管理者について実施し、ギャップを明らかにしていく。A〜Kの中で低い点に注目する。あるいは、A〜Kの中で管理職と本人との点数が逆転している項目に注目する。弱みと強みについても分析する。分析後は、従業員へフィールドバックし、改善行動へと連動させていく。
・従業員意識調査表︱A社の事例
A社の項目ごとの集計は項目ごとの集計・平均の通りである。A〜Kの平均は、2・67(本人)、2・33(管理職)となっている。運送業の評価レベルはS︱4・5以上5未満、A︱3・5以上4・5未満、B︱3以上3・5未満、C︱3未満である。従ってA社はCとなりレベルは低い。項目別に見ると仕事中の私語1・9、声掛け2・0、親切で丁寧な話し方2・4︱︱がワースト上位となっている。本人と管理者とのギャップが大きいのは、キチンとした受け答え(ギャップ0・8)、おもてなしの気持ち(ギャップ0・6)が目立っている。「トータル平均2・49でCの評価のままであるならどうなるか。ますます荷主の信頼を損なっていくばかりではないか。このままでは同業他社に遅れをとって取り残されてしまう」。A社のトップは従業員意識調査表の結果を分析して愕然とした。「これではクレーム・トラブルが後を絶たないのは当たり前の話だ。モラルが低すぎる」 (つづく)この記事へのコメント
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筆者紹介
川﨑 依邦
経営コンサルタント
早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。
株式会社シーエムオー
http://www.cmo-co.com -
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