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ブログ・名南コンサルティングネットワーク
第20回:事業引き継ぎの上手な行い方 その2
2014年3月31日
事業を引き継ぐ際に、関心が高いのが債務の承継です。事業活動には債務がつきものです。その債務を正確に把握して引き継ぎができればよいのですが、債務はいわゆるプラスの資産と違って目に見えないものであり、なかなか難しいところです。そこで、事業引き継ぎにおける債務の把握の仕方と、リスクヘッジの方法について説明しましょう。
債務には、金融機関からの借り入れのように契約書がしっかりと整理されたものと、そうでないものがあります。契約書がしっかりと整備されたものは書面を確認することで足ります。そして、債務の残高は、債権者に確認するなどして把握することもできます。
他方で、契約書がしっかりと整備されていない債務はどのようなものがあるでしょうか? 材料などの仕入れ債務のように事業の運営上日常的なもののほか、そうでないものがあります。たとえば、未払いの賃金・残業代、未納の税金・社会保険料、商品やサービスの不良による弁償、すでに発行された値引きクーポンや、果ては他人の連帯保証というものがあります。そういう見えない債務について、事業を引き継ぐ際に法律家や会計の専門家に依頼し、しっかり調査しておきましょう。もっとも、調査といっても時間と質に限界があります。今、見つからないにしても、後日、万一見つかったときに紛争にならないよう、あるいはそれを最小限にとどめるようにしておくことが肝要です。
たとえば、いわゆる「表明・保証」を引き継いでもらう方(譲る方)がしっかり行い、万一、これに違反したときは、譲り受ける方がイニシアチブをとって、理由の有無を問わず、引き継ぎ契約の解除や損害賠償などの請求をできるようにしておくべきでしょう。
その点からも、事業の引き継ぎは、しっかり手順を踏み、書面によることがすべての基礎になります。「なあなあ」ではトラブルを引き起こすことは間違いないでしょう。
(荻野恭宏、名南コンサルティングネットワーク http://www.meinan.net/)この記事へのコメント
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筆者紹介
名南コンサルティングネットワーク
東海地区トップクラスの経営コンサルタント集団。税理士、司法書士、社会保険労務士、行政書士、不動産鑑定士、中小企業診断士など様々な資格を活かし、経営コンサルティングだけでなく労務管理、税務会計、各種登記・許認可申請、資産運用助言、ISO認証取得支援、マネジメントシステム構築支援など中小・中堅企業の経営をトータルにサポート。「運送業支援チーム」を結成し、業界特有のトラブル対応やトラブルの未然防止策などの経営支援に力を入れている。
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