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ブログ・野口 誠一
第27回:倒産の原因第6位/家庭不和・同族経営の弊害
2004年3月26日
「倒産の原因ワースト10」の第6位は「家庭不和・同族経営の弊害」である。
私たちの統計によれば、倒産者の6割はその後、離婚に至っている。そして、離婚した倒産者の再起は非常に難しい。人は一人では生きていけない。「人」という文字の姿を見ればわかるように、人は互いに支え、支えられて生きている。その最小の単位が夫婦であろう。そこに亀裂が走れば、離婚に至っても不思議はない。が、多くの場合、倒産は離婚の引き金であっても、原因ではない。真の原因は、それまでの夫婦のありようにある。
他に愛人をつくっているケースは論外としても、「家庭に仕事の話を持ち込まない」「女は仕事のことに口をはさむな」という経営者は意外に少なくない。
が、それでは夫婦の対話不足は否めないし、そこから家庭不和まではほんの一歩にすぎない。そんなところへ惨劇が起きたら、夫婦の絆などひとたまりもあるまい。
経営者であれサラリーマンであれ、夫婦喧嘩は仕事に響く。ムシャクシャするし、集中力は欠くしで、ヘタをすればミスすら犯しかねない。
それが常態化したとき、倒産の陰がしのび寄る。最小単位の妻や家族を幸せにできない経営者が、社員や取引先、消費者を幸せにできるはずがないからである。
私は常々、「倒産回避の妙薬は家庭円満である」「夫婦仲が良ければ二代目は自然に育つ」と言っている。中小企業は同族経営が多い。むろんその利点も多々あるが、ときに弊害もないとは言えない。
何よりも怖いのが、いったん同族争いが起きたとき、血は水よりも濃いがゆえに、骨肉相食むドロ沼と化してしまうことである。そこを回避できるのも、やはり「家族力」である。
家族力は夫婦円満、家庭円満からしか生まれない。家庭不和と倒産は背中合わせである。この記事へのコメント
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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