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ブログ・野口 誠一
第184回:ライバル出現で売り上げ激減
2008年8月29日
Nさんは29歳のとき脱サラし、昭和26年、習志野市内に10坪ほどの書籍・文具店をオープンした。
スタート時はわずか月100万円ばかりの売り上げにすぎなかったが、平成3年には年商2億2000万円と、飛躍的に業績を伸ばした。この急成長はひとえにNさんの真面目な性格と、一途な仕事ぶりがもたらした成果であった。
この間、店のほうは奥さんに任せ、自分は各家庭や学校、会社をまわって外商に力を注いだ。朝の7時には早くも店を出て、帰ってくるのはいつも夜の9時、10時。この寸暇を惜しまぬ働きぶりが、年商2億2000万円に結実したのである。
そんなNさんが、「真面目に、懸命に働きさえすれば、業績はあとからついてくる」と信じたとしても不思議はない。事実、彼は問屋や同業者とのつき合いを最低限におさえ、アリのように働いた。
そんなNさんに平成4年、転機が訪れた。近所で170坪の土地が売りに出た。彼はただちに銀行と農協から借りた9000万円に自己資金6000万円を加え、1億5000万円でその土地を購入して40坪の新店舗を構えた。と同時に従業員を5人に増やした。
この頃には書籍・文具のほかに教材、レンタルビデオ、スチール家具なども手がけ、平成6年にはついに年商4億円を達成した。が、そこが彼のピークでもあった。
平成7年、強力なライバルが現れた。200坪の郊外型書店がオープンしたのである。と同時に近所の書店も新築・増築ラッシュとなり、それまで年商トップの座にあったNさんはたちまち顧客を奪われ、売り上げが4割も落ちた。
焦ったNさんは信組から5000万円の融資を受け、店舗を2倍に広げたが、その後も教材大手やレンタルビデオ専門店の進出が相次ぎ、ついに客足をつなぎ止めることはできなかった。 -
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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