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ブログ・高橋 聡
第283回:令和時代の運送業経営 管理職編(81)
2025年3月13日New!!
【リスク対応編】81
「頑張る運送業経営者を応援します!」というシリーズで「令和」時代の運送業経営者が進むべき方向性、知っておくべき人事労務関連の知識・情報をお伝えしています。
今号も中小運送業における「事業承継リスク対応」に関し解説してまいります。
1.事業承継リスク
中小運送業における「事業承継リスク」には、大きく「後継者難」「納税」「経営承継」リスクがあります。いずれも頻度は低いが経営への影響度の大きいリスクで早い段階での対策が必要です。2.後継者難:M&Aによる承継
M&Aは事業承継の有効な手法です。例えば長距離主体の会社が地場運行会社を買収、4㌧、大型ウイングなどが主体の会社が平ボディーの運送会社を買収する、といったシナジーを追求している事例が多くある一方で、営業所拠点や倉庫設備を共用するメリットを目的にM&Aが成立しているケースがあります。
また、M&Aの際に未払残業代が問題になることが多くあります。「時間把握方式」「給与制度」の両面で精査する必要がありますが、多くの会社で何らかの問題を抱えているのが実態です。売却を検討する場合は自社の時間管理・給与制度を再度確認する必要があります。さて、M&Aによる承継を選択した運送会社においても承継が「上手くいっている」ケースが一定数ありますが、「上手くいっていない」ケースも散見されます。
M&A後の経営を軌道に乗せることが最も重要です。
M&A手続きは想定通りで進んだとしてもその後の経営実務に問題が生じることがあります。例えば、運行管理者や配車マンが買収会社側幹部と頻繁にやり取りし旧経営者の指示を全く聞かなくなっている事例があります。
また、買収会社の給与制度を買収後短期に変更したため、計算実務や支給手続きに問題が生じて混乱している、といった事例です。
ドライバーは給与変更に敏感です。旧会社の制度・仕組みを尊重し、一定程度の年月をかけて課題・問題点を是正していくという進め方がリスクが少ないと感じます。
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筆者紹介
高橋 聡
保険サービスシステム社会保険労務士法人
社会保険労務士 中小企業診断士
1500社以上の運送会社からの経営相談・社員研修を実施。
トラック協会、運輸事業協同組合等講演多数。 -
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