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ブログ・上西 一美
第107回:DR映像が客観的な事実
2023年11月20日
日本事故防止推進機構(JAPPA)理事長の上西一美です。運転者が交通事故を起こすと、皆さんは事故報告書を書かせると思います。そして、事情を聴き、ドライブレコーダーの映像があれば、それを見て指導していく、これが通常の流れではないでしょうか? しかし、私がタクシー会社の社長時代は少し変わった指導を行っていました。
結論から言うと「指導をしない」ということです。まず報告書を書かせ、そして、ドライブレコーダー映像を一緒に見る、これは皆さんと同じだと思います。しかし、ここでは指導は行いません。
次にやってもらうことは、本人に自分の事故映像を見た感想を書いてもらいます。通常、運転者は、自分の目に見えたものでしか状況を分かっていません。
例えば、右折時に右後方の巻き込み確認をすると、当たり前ですが左前方はまったく見ていないことになります。まったく見ていない間、仮に左側から自転車が接近して接触すると、運転者は、「自分はしっかり安全運転しているはず、だから、相手の自転車が猛スピードでいきなり渡ってきたに違いない」、こう考えて、「マナーの悪い自転車が当たってきた」などという勘違いを起こすのです。
これが運転者から見た主観的な事実です。しかし、ドライブレコーダー映像は、前方を常時記録しています。よって、これは客観的な事実であり、ドライブレコーダー映像こそ真実なのです。
運転者は、ドライブレコーダー映像を見る前は主観的な事故報告を書きますが、事故映像を見た後は、自身の事故を客観的に観て感想を書きます。「自転車が飛び出してきたと思っていたが、自分の安全確認不足です」と、事実を受け入れていくのです。
この「客観的に観る」ということが大切なのです。客観的に事故映像を見ると、自発的に納得し、自身の中で勝手に再発防止策を考えます。そこで、ひと言、指導ではなく、アドバイスしてあげるのです。「再発防止策を完璧にできるようになるために、今日から何をする?」、これで、事故後の面談は終了です。
人は納得して初めて行動を変えます。その納得は、自分自身で行うほど強いものはありません。他人から指導されたり、説得や時には説教をされても、人は行動を変えることはほぼありません。
このような方法で、私は余計なトラブルもなく、短時間でアドバイスを終えていましたので、ぜひ、試してみて下さい。
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筆者紹介
上西 一美
一般社団法人日本事故防止推進機構理事長、株式会社ディ・クリエイト代表
自動車事故防止コンサルタントとして豊富な実績。
一般社団法人日本事故防止推進機構
http://www.jappa.or.jp/
株式会社ディ・クリエイト
http://www.de-create.com/ -
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「人は納得して初めて行動を変えます」←これは本当にその通りだと改めて気付かされました。新聞の連載コーナーで読んですぐに切り抜きを管理職全員に回覧させました。弊社も恥ずかしながら軽微な事故がなかなか減らず指導方法に悩んでいました。連載を読む度にドラレコの有効活用ができていないことを痛感するので「客観的に観させる」ことを念頭に置いて教育指導していこうと思います。こういう専門的な話は田舎ではなかなか聞けないので大変参考になります。この著者の方にはお会いしたことはないですが、業界全体で1件でも事故を減らすためにも多くの経営者、運行管理者に読んでもらいたいコーナーだと思います。
この人ユーチューバーなのに文章も書けるんやな
トラ協の大会で話し聞いたことあるけど参考になった。初めて寝なかったかも(笑)。うちの事務所の廊下はウィークリーのコピー貼りまくられてる
「ドライブレコーダー映像こそ真実」これほんとそう。みんな本能的な自己防衛で良いように解釈するから。でもうちの社長はコスト削減したいからって付けさせてくれない。この人の講演を社長に聞かせたい