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    キユーソー流通システム・八木社長「収益力の回復にポイント置く」

    2008年12月10日

     
     
     

     食品物流業界最大手のキユーソー流通システム(KRS、八木博社長、東京都調布市)は66年2月、キユーピーの倉庫部門を分離・独立させ、資本金1000万円で設立した「キユーピー倉庫」からスタートした。
     関連会社の上海キユーソー倉庫運輸有限公司の新冷蔵庫が昨年11月に完成し、現地で本格的な三温度帯の物流サービスを開始。今年1月には川崎低温物流センターが完成し、輸入食品向けの大型冷蔵庫が稼働するなど新事業を展開、「食品物流のリーディングカンパニーとして『存在感のある企業グループ』の構築」を目指している。


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    八木博社長
     07年度の連結売上高は1402億円、経常利益は14億円、税引き利益は3億円で、対前年度では増収減益。08年5月中間決算でも増収減益の傾向は続いており、八木社長は「当面、単年度目標の達成に努めるほか、収益力の回復にポイントを置く」と話す。
     協力運送会社による「キユーソー会」と緊密な関係を保ちながら、全国ネットの四温度帯物流拠点を整備し、高度な品質管理に基づく物流サービスを提供。GPS、デジタコを搭載したキユーソー会全国3000台に及ぶトラックの機動力に、同社の営業企画力と倉庫・施設機能を組み合わせた「アセット型3PL」を軸に、新規顧客開拓は順調に進展。
     だが、少子高齢化の影響などで食品物流市場の全体量は減り、「既存顧客の荷物も減少傾向」にある。売り上げ確保に向けた新規顧客獲得の結果、「取り扱う商品アイテム数が急増し、作業効率、利益効率が低下している」と八木氏は強調。作業効率をいかに高めるか、同社は「作業の標準化」と呼び、平田章前社長の時代から取り組んでいる。9月1日付で情報本部を「システム開発本部」に再編したのも、「さらに強力に作業の標準化を推し進める」ためだ。
     「食の安全・安心」に対する国民の要求は、厳しさを増すばかり。「メーカーも『工場から出荷したら終わり』ではなく、消費者の手元に届くまで責任を追及される」中、様々な管理能力が物流業者に要求される。キユーピーを主要顧客として安全・衛生面で最高水準のノウハウを培ってきた同社だが、さらなる物流品質向上のため「品質本部」を新設。
     平田氏の後任として6月に社長に就任した八木氏は、69年にキユーピーに入社。94年に原料本部長という、極めて重要なポストを任された食品業界のサラブレッドでもあり、キユーピーの社長だった故藤田近男氏から多くの薫陶を得た。
     かつて藤田氏に「会社が発展するには何が必要ですか」と聞いたところ、「変化を予測し、変化に対応すること」と教えられた。また、「流れに逆らってはダメだ。流れに乗った上で自分の思う方向に進め」とも。この二つが「経営者として自分の大きな拠り所」になっている、と述懐する。
     「物流業界は激変しているが、KRSは変化に対応できる組織になっているか」と考え続けてきた八木氏は、社長就任と同時に(1)意思決定のスピード化、(2)専門部署・会議への権限委譲、(3)人材教育、人事・労務施策の見直しを提唱、「三つの改革」として取り組み始めた。第1弾として10月から会議体系を改める。「経営会議で何でもかんでも決めていたものを、分野別や専門会議別に権限を委譲し、意思決定のスピード化」を図るという。(土居忠幸)

     
     
     
     
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