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    川崎人形「荷物の破損防止にさまざまな工夫」

    2009年6月30日

     
     
     

     人形の町として知られる埼玉県・岩槻に、江戸時代から商売を始めて16代目、人形製造業の川崎人形としても3代目となる川崎浩司社長がいる。節句人形工芸士の称号を持ち、先代も伝統工芸士。
     同社の主業は人形および人形小道具、祭事道具などの製造・卸業。ひな人形や5月人形の出荷ピークは11月から3月だが、全国でも数少ない等身大の山車人形や山車の発電機、彫金金具、ちょうちん名入れと様々な商品を扱う同社は、ほぼ1年を通し国内各地と海外へ出荷している。



    川崎社長
     今年は世界的な経済不況のために激減したが、例年、海外への出荷も数千便あるという。「国内でも30年ほど前は1回の出荷量が多かったので大型トラックをチャーターしたり、JR貨物のコンテナを使ったりしていた。鉄道のコンテナを使う時は、ガラスケースの外箱のガラス面の部分を、わざと四角く切り取ってガラス面を露出し注意を促しておく。そうすると扱いが丁寧になり、破損数は少なくなる」と川崎社長は話す。
     「昔は大卸先にまとめて卸すことが多かった。今は卸問屋や大規模量販店、小売りのほか、各得意先からの依頼で受注品をエンドユーザーに直納するケースも増えた」。現在は出荷のほとんどを数社の路線便で出しており、路線便だけで運送費は年間1000万円以上という。
     出荷の際は各社の特徴を考え、出荷する荷物の種類や荷着地域によって使い分ける。「A社は安くて早いが破損が多い。こういう事業者には布物など壊れないものしか任せられない。一方、B社の運賃は高いが丁寧で破損率は低い。こういう事業者は高額品やケース物を依頼できる。ただ発送先が地元だと途中から下請け事業者になってしまう場合もあり、発送時の注意事項などの伝達が行き届かず、クレームにつながることもある」。更に「積み下ろし時、片手で梱包紐を持って運ぼうとするかもしれない。梱包紐が伸びるタイプなら両手で扱うようになる」という。
     このほか、上積みされたくない時は外箱の天井部分を三角錐にしたり、壊れ物注意のシールを独自に作ったりと工夫を凝らす。「多くの荷物の中では、ほかにない色使いで注意事項を目立たせなくては駄目。通常のシールが赤地に白や黒文字だったので、わざと白地に赤文字と逆色にしたシールを作って張ったら破損は激減した」という。
     現在はB6判の大きなシールで、赤太枠で囲み、直接、「ドライバーの方、荷扱いをされる方へ」と語りかける手紙様にし、「高級品」の文字も入れ、更に「ご苦労様」の言葉も忘れずに書き添える。「運ぶのは人間。少しでも気持ちよく運んでもらえば破損も減る。荷物を出す方も考えることが大事」という。
     これらの工夫は、大型牽引免許を持つ川崎社長の経験が基になっている。「引っ越しなどで破損した人形の修理依頼も多いが、人形は縁起ものだから破損などあってはならない。納期を守ることも当然。ほかよりも1─2割運賃が高くても問題なく客先に届くことが、この種の荷物を運ぶ絶対条件。真心と信用も一緒に運ぶ気持ちを持って欲しい」と川崎社長は語る。
    (小澤裕記者)

     
     
     
     
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