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    「抱えず、つながる」で受注増 効率良い同業ネットワーク

    2009年9月2日

     
     
     

     それぞれの荷主から集荷した商品を地域ごとに仕分けして、各自に強みのある地域で配達しあう中小の運送業者ネットワークが稼働し始める。府県の半分程度の地域に自社トラックを集中させることができるため、運送業務そのものを効率化できる一方、広域ネットワークの強みを荷主側に訴えることも可能だ。「個々が抱える」から、「つながることで任せあう」への変化は同時に、従来の元請け―下請けの一方通行型ビジネスモデルを覆す力にも化ける力を秘めている。


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    エスエスサービスの下原社長
     兵庫県尼崎市の臨港地域にある倉庫。家電と家具の宅配が主力のエスエスサービス(下原啓明社長)の本部営業所には、複数の量販店などから集荷された商品がひしめき、月間6000~7000個の商品が同倉庫から宅配される。
     同社が、単一の荷主からの商品をトラックに積み込んで配達先の家庭を回る方式から、複数荷主分を積み合わせる方式に切り替えたのが5年ほど前。今でも積み合わせを嫌う荷主はあるものの、「おおむね好評」と下原社長は捉える。トラック1台が配達する密度の効率化が図れた。
     しかし、業容を拡大しようとすればヒトを大勢抱えなければならず、営業所を出店するにもカネとヒトの問題が付いて回った。具体的には、着払い商品を取り扱うことからくる代金管理や、現地採用の従業員とのコミュニケーションなどの問題だ。
     「拡大は、全部自分のところではできない」。同業他社とのネットワークの必要性を下原社長は感じ取った。積み合わせ配達による利点を維持しつつ、手始めに兵庫県西部に強みを持つ同業者との提携にこぎつけた。両社の倉庫に集荷された商品を独自に仕分けし、お互いの倉庫に収めあう。その商品を各自の配達網に乗せ、効率化が図られた。

     こうした効率化の前提となるのが、商品の配達個数によって金額が決まる個建て運賃だ。量販店の宅配分野ではすでに標準となっている個建て単価が、店側と運送事業者との契約で定められていることにより、同業両社の提携も、例えば繁閑の差を越えて成り立つ。受注事業者は10%の手数料を、実運送事業者が残り90%で実務を担う仕組みだ。

     もうひとつの前提は、配達受注した商品を一時入れする倉庫の確保だ。ネットワーク参入意向の5社のうち、3社は物件確保に奔走している状態で、下原社長は「最初は赤字でも、器を構える必要がどうしてもある」と考え、3社と連絡を取り合っている。

     5社は、大阪府内の南北に1社ずつ、兵庫県内に3社。京都はエスエスサービスの営業所が担い、滋賀県内でも1社が参加意向で、近畿中部から北部域をカバーする。ネットワークの強みを訴えることで受注した案件も10月から始まり、物量が今の1.5倍程度に増える見込みだ。
    
 下原社長は今後の展開について、「市場が伸びているインターネット通販からの受注などを取り込みたい」と抱負を語る。そのいっぽうで、「ネットワークのそれぞれが独立した法人であり、それぞれがいかに仕事を受注できるかがカギ。組織にタダ乗りするなどの行為も信頼関係で乗り越えたい」と、課題についても話している。

     
     
     
     
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