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運送会社
CEC 『RaLC』で物流現場を「見える化」
2010年11月17日
こんなはずではなかった・・・。
新センターの稼働時に、混乱した現場でよく聞くひとことだ。誰もが避けたいこのトラブルを防ぐツールの一つとして「RaLC」が注目されている。これまで現場が動き出してからでしか分からなかった潜在的な問題が、事前に把握できるからだ。
シーイーシー(東京都渋谷区)が物流業務最適化支援ツールとして開発・販売している「RaLC(ラルク)」は、パソコン上に人、モノ、機械の動きを3D映像でリアルに再現し、現場の様子を画面上に「見える化」するというもの。
3Dモデル上に実際の在庫情報を表現することで、倉庫に入ることなく、現場の状況を視覚的に把握することが可能。倉庫レイアウト、棚ロケーション、人員計画、作業動線、マテハンの性能など、複雑に絡み合った物流センター運営でのボトルネックや無駄がどこにあるのかを明確にする。
また、シミュレーション結果として、物流業務の解析に必要となる様々な分析帳票の出力が可能。作業員別の稼働状況や稼働率、歩行距離もグラフ表示でき、改善のヒントをユーザーに提供する。
同ソフトは、新センターのスムーズな立ち上げや日々の業務改善に貢献するものとして人気が高まっており、既に200社を越えるユーザーが活用。3PL事業者が荷主に提案する際の営業ツールとしても愛用されている。
シーイーシー第一システム開発事業部の藤原学部長は、「未来予測」と表現する。「スペースが過剰、または不足している、導線が交錯しているなど、図面レベルでは気付けなかったことが『仮想操業』することで明確になる」とし、「不測の事態を招かぬようリスクを把握し、予め対策を講じられる」という。
同部長は、同システムを活用することによる2つのコストメリットを提示。エクセルのデータを集めるよりもパソコン内に仮想センターを作りビジュアルで表現し、シミュレーションデータを分析する方が問題点を見つけやすいため、「圧倒的に検討時間を短縮できる」ことが一つ。もう一つが「実現可能かつ妥当な『質の高い』計画が立てられること」だ。「過剰な設備投資を避けられることで無駄が減り、余計なコストを削減できる」とする。
また、「シミュレーションを実施するタイミングは、センター移転時や設備入れ換え時だけではない」とし、「このツールが単発で活用するだけのものではないことを知ってほしい」という。「稼働している物流センターでの改善活動は、『とにかくやってみよう』と言う訳にはいかない。操業しながら業務を止めずに改善に取り組むためにもシミュレーションは重要」とする。「マテハンの入れ換えなども少ない工数で好きなだけ試せる。グラフや数値だけでは検討しづらいケースでも、『RaLC』であれば容易に検証できる」。
「前提条件が日々変わる現在、『最適解』もどんどん変化する。予め物量の変化が分かっていれば、センター長もそれに対応した計画を柔軟に立てられ、手持ちのカードを増やしておくことができる」。
現在、「RaLC」は、大手3PLや、ゼネコンでの導入も活発で、コンペでの提案時に活用されている。「当然だがプレゼンでの荷主からの評価は高くなる。『本当にそうなのか、問題はないのか』という物流担当者の疑問を解消できるため」だ。「なかには、提案は『RaLC』でと指示を出す荷主もある」という。
また、「仕事を獲ったはいいが、『実際に請け負うと大赤字』という悲劇を回避する」ため、荷主への提案をシミュレーションしながら、採算が本当にあうかどうかも検証する物流事業者が多いという。
顧客へ提案する際はもちろん、社内での稟議書に付ける資料として利用しているユーザーも。「管理者層と現場とのギャップを埋め、ベクトルを合わせるツールとしても活用できる」とし、「改善活動を推進する際に見える形で目指す方向を示せるため、社内での意思統一に役立つ」という。
今後、派遣法が改正されると、これまでのように派遣会社頼みの人員コントロールは難しくなることが予想される。「入荷する物量を基にシミュレーションしておけば、無駄のないセンター運営ができる」とし、「人員を波動に併せて減らすことが難しくなったとしても、1時間早く終わることが予め分かれば、早く帰らせるか別の仕事をしてもらうかなどの対策も立てられる」。
藤原部長は、「経験と勘をナレッジに変えることができる製品。現場に詳しいベテランに頼るように、『RaLC』を活用してほしい」と語る。
価格は1ライセンスあたりスタンダード版が360万円、年間保守料は54万円。フルスペック版は、同500万円と同75万円。
◎関連リンク→ 物流業務最適化支援ツール『RaLC』 -
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