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運送会社
京豊運輸と川端運輸 ドローン物流の可能性探る、国交省の実証実験に参加
2022年12月28日
ドローン物流の可能性を探る取り組みがスタートした。国交省が始めた実証実験で、新潟県といった自治体やヤマト運輸、ドローンのスタートアップ企業などが参加者として名を連ねているが、その中に、中小運送事業者が2社含まれている。両社に共通しているのは、「現状のままでは業界のさらなる発展は望めない、新しいチャレンジが求められる」という前向きな姿勢だ。
国交省では現在、「河川上空を活用したドローン物流の実証実験」を実施している。これは、物流分野等の担い手不足や地方部の人口減・高齢化等が進行する中、障害物の少ない河川上空でドローン物流の社会実装を促進することが地域課題の解決や地域活性化につながるとし、河川上空を飛行ルートとして活用する際のルールづくりの必要性や支援策等の検討に向けて実証実験を行うというもの。全国18か所で22団体が参加しており、来年3月まで実証実験が行われている。
近畿地方では、京豊運輸(西浦真紀社長=写真左、大阪市東住吉区)が参加主体となり淀川(大阪市)で、川端運輸(川端真也社長=同右、奈良県大和郡山市)が参加主体となり大和川(同川西町、安堵町、斑鳩町等)で実験を展開。11月28日に、両社合同で第1回となる実証実験が実施された。
午前中に大和川で、午後から淀川で実施され、今回は撮影用のドローンを用いて河川上空を飛行。ルートの途中に補助者を配備し、電波の受信状況や風による影響など、どういう問題が起こるのか飛行の安全確認をチェック。飛行距離が伸び、高度が低い状況だと電波が届かなくなるなどの課題が見つかった。
両社は今回の実験参画に際して、両社長とスタッフがドローンのビジネススクールであるドローン大学校に通って知識と技術を習得。川端社長は、「9月に参加者に選定され、河川事務所などと調整しながら取り組みを進めている」と語り、「まず何より、飛行の許可申請をするのが大変。通過する橋ごとに管理者が違っていたり、高速道路や線路の上を飛ぶための許可申請には2週間以上の時間がかかる。飛行エリアが限定されているなど様々な課題を解決させていかないと、サービスレベルでいうと物流現場で実用化するのはまだまだ難しい」と指摘。「しかし今後、物流は空を飛ぶ時代が必ずやってくる。今日はその初日である。われわれ現場の声を国交省などに語っていくつもりであり、どこまでできるか分からないが前に進んでいきたい。そのためにも1社だけではなく、みんなが協力して取り組むことが必要だと思う」と抱負を述べた。
西浦社長は、「今回は撮影用のドローンを使用したが、今後、実用化へのハードルを確かめるためにも、荷物を積載したドローンの使用や、大阪の南港の物流センターから市内に向けて飛行させるなどの実験も想定している」と述べ、「今回、物流会社で参加しているのはわれわれを含めて3社だけなので、現場で起こった問題点を洗い出して提案していくことが重要。今回、課題が見つかってよかった。物流会社だからこそできる提案を行い、課題解決に向けて活動していきたい」と意気込みを語る。
今回の実験結果については、国交省で行われる意見交換会で発表する予定。今後も両社合同で取り組んでいく方針で、次回の実証実験は来年1月ごろを予定している。
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