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    丸和運輸機関 和佐見勝社長 問屋物流から小売物流へ

    2015年10月2日

     
     
     

     「桃太郎便」で、今や日本全国をネットワーク化する丸和運輸機関(埼玉県吉川市)は今年4月、一部上場を果たした。一代で同社を導いてきた和佐見勝社長の経営者人生を振り返るとともに、上場にこだわってきたわけ、自身が社員や協力会社にまで教育する「桃太郎文化」誕生の経緯など、成長企業を牽引しつづけるトップの思考を紐解く。
     8人兄弟の6番目として農家に生まれた和佐見社長。進学を勧める父親や教師の反対を押し切り、中学卒業後、すぐに東京・日本橋の青果店に就職した。同社長は、「結核を患う母を俺が治すと決め、市場でアルバイトをしていたときに知り合った青果店の社長のところに就職した」と、当時を振り返る。
     この時、すでに「成人を迎えるまでには独立して店を持ちたい」と公言。言葉どおり、19歳で独立した。順調に事業を進めるも、押してはならない判を押してしまったことが原因で、店(青果店)や、その他の全てを失うことになる。同社長24歳。「手元には、1トントラック1台しか残らなかった」という。


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     「車しか残っていないなら運送をやろう」と1台で再起業したが、「青果店の経験で、仕入れや顧客管理ができた」ことから荷主に重宝され、3年後には2トン車約100台を動かすまでになっていた。トラックは全て中古で購入し、「地場配送に特化する」と決め、「給料は2倍、仕事は3倍」という同社には、よく働き、よく稼ごうという者が集まっていた。
     埼玉にとどまらず、さらなる拡大を目指した同社長は、物流効率化促進法を活用するなど、「物流フルライン一括システム」を開発。これが同社の3PL事業の第一歩となった。共同配送を行う同社の物流センターは、「3年間は、やることなすこと全てダメ。赤字が続いた」という。しかし、「問屋物流から小売り物流へ転換する」という構想を実現し、3年間で黒字転換を果たした。
     その後、マツモトキヨシの「500店舗展開構想」を耳にした同社長は、自ら営業に足を運んだ。「ウチに任せてもらえれば、『在庫ゼロ』『納品100%』『ノー検品』で出来ます」と訴え、「問屋の物流(他社物流)では対応できない自社物流のメリットを伝えた」という。
     同社のセンターで検品を行い、毎日配送するため、荷主は物流インフラへの投資ゼロで、店舗での在庫スペースもいらなくなった。新しい仕組みの導入に、当初は1年のテスト期間を予定していたが、スタートから3か月で効果が認められ、全国展開が決まった。
     「私たちが構築する物流センターの活用で、在庫管理から配送まで全てを行う。お客様は、先行投資をすることなく自社の都合にマッチした物流を手にできる」。そう話す同社長は、前出のマツモトキヨシやダスキンなど3PL事業の実践を積み重ね、荷主に合わせた物流を提案する力を磨いたという。
     現在取り組んでいるイトーヨーカドーのネットスーパー事業では、配送スタッフがお届け先で1点1点、商品説明を行っている。このような質の高い接客サービスは客単価の向上にもつながっており、荷主からの信頼も厚い。荷主にとっても新たな分野であるこの部門の成長のために、店舗担当者とともに勉強会を開催するようにもなった。
     私生活では、43歳のときに大病をして再起も危ぶまれる状態に陥ったという。そんな病床で書き上げたのが、「桃太郎文化」だった。「今まで築いてきた丸和運輸機関の文化、自分の経営哲学を伝えたいと、ポケットサイズの冊子にまとめた」のだ。「経営には哲学が必要」という同社長の仕事と会社、そして社員に対する思いを込めた。「不易流行。僕が引退したら、どんどんメスを入れて書き換えていってほしい」と、常々社員に伝え、「社長の仕事は企業力を高めること」と言う同社長が重視する教育にも桃太郎文化が生かされている。
     今年4月に一部上場を果たしたばかりだが、同社長は、「むしろ今が正念場」と話し、社員との信頼関係を土台に、「立ち止まるな」と、既に次のステージを見据えている。「良い時に次の手を打たないとダメ。既存の顧客サービスを維持、深耕した上で、低温食品物流で攻める」と明言。
     次なる目標として年商1000億円を掲げ、上場で資金を集め海外進出にも打って出る。また、人材に関しては毎年200人を目標に新卒採用を行うなど、これからの人材不足にも備えていく。
     同社長がこだわってきた「上場」は、事業の拡大ばかりが、その理由ではない。「創業以来、世襲制はひかないと明言してきた」と言い、「会社を個人の所有物から切り離す。いつまでも僕の手で押さえておくわけにはいかないからね」と笑う。「長くても10年」と、自らの手から丸和運輸機関を羽ばたかせることを、創業者としての最後のミッションと位置付ける。
    ◎関連リンク→ 株式会社丸和運輸機関

     
     
     
     
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