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運送会社
新世通商 最新機器を導入、徹底的に「安全」追求
2017年11月29日
運送業を経営するうえで、何よりも大切なものは安全だ。新世通商(滋賀県愛荘町)の尾上佳弘社長は、自身の経験をもとに安全に対する思いが深い。尾上社長が小学4年生のころ、家族の生活が一変する出来事が起こった。
社長の母親が交通事故に遭い、足に障害が残ったのだ。「それまで当たり前に行っていた買い物や旅行に行けなくなり、日常生活にも支障をきたす母親の姿を見て、子どもながらに感じるものがあった。会社を立ち上げたころから既にGPS動態管理の開発に加わるなど、安全を徹底的に追求している」と話す。
今年、巻き込み事故防止のために導入したのが、インバイト社の360度サラウンドカメラだ。「1つのヒューマンエラーがドライバー自身だけでなく、事故に遭った相手側の何十年先にも影響する」と考える尾上社長が、他社にも装着を推奨する同カメラ。「最近でも、8月に神奈川県で女子高生が左折中の大型トラックに巻き込まれ死亡した。何よりもトラックに乗る本人が対策を講じるべき」と話す。
また、トラックの類型事故として多い追突事故を防止・軽減するために、旧型大型車両の先進安全自動車(ASV)への切り替えを加速させていくという。純正衝突軽減装置の設定のない小型や旧大型車へ既に取り付けられている後付け衝突軽減装置は、精度が高くドイツ車などにも取り入れられているものを選択。さらに、安全知識育成のため社員全員の運行管理者資格取得をめざしており、既に取得率は7割を超えている。
採用・人材育成でも創意工夫を凝らす同社。採用時に筆記テストや二次面接を実施、長期雇用をめざしての取り組みも行っている。入社後は教習所のカリキュラムを受講してもらうことで、ドライバーの苦手ポイントを知り、改善指導していく。
福利厚生では資格取得制度、マイカー購入支援、マイホーム購入支援、 結婚式費用支援、学費ローンなどの各種支援制度を設けてライフスタイルの変化に対応。ドライバーのアニバーサリーや功績に合わせ、家族を全国のリゾートホテル「エクシブ」に招待するなど家族への気遣いも忘れない。琵琶湖に所有するスポーツクルーザーでのマリーンスポーツも魅力だ。さらに健康維持管理の一環として、社内にジムのような空間も設けられている。
安全に関しては妥協しないため、納得しなければ運輸支局にも法規の改善要望や解釈を聞きに行くなど、常に情報を仕入れているという尾上社長。360度カメラを導入したことで、直前直下や左方後輪・後端などの車両周囲の死角を俯瞰画像と部位画像として画面で確認可能にした。カメラの導入には本体だけで約20万円。モニター、工賃などを含めると30万円の費用を要したが、前面直下の見づらい子どもの動きや後輪などを確認することが容易で、カメラ導入車両に乗るドライバーも「目視にカメラをプラスすることで、巻き込み事故の危険が格段に減る」と話すなど、評判がいい。
自身を「新しい物好き」と分析し「メーカーとも相談し安全対策の改良を重ねていく」とする尾上社長は、「機器導入や教育で悲惨な事故が少しでも減っていく世の中になれば、物流業界の地位改善やイメージアップにつながる」と話す。
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