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運送会社
サラリーマンから経営者へ 滝興運 小宮山繁社長
2019年1月25日
「最初の2年間は心身ともにきつく大変だった」。そう振り返るのは、滝興運(葛飾区)の小宮山繁社長。同社長は大学を卒業後、海運会社の東海汽船に就職、サラリーマン生活を送っていた。
そんな同社長に転機が訪れたのは14年前のこと。当時、同社は義父が創業して経営を行っていたが、義父が病に倒れた。
会社の行く末を誰に託すのか思案する中で、同社長に白羽の矢が立った。もともと継ぐということは考えたこともなかったという同社長。「仕事を手伝ったこともなければ、トラックのことなどまったくわからなかった」という。
しかし、従業員100人、その家族を含めると、300人、400人にもなる。その人たちを路頭に迷わすわけにはいかない。
船会社を辞め、サラリーマン生活にピリオドを打った同社長は、平成16年10月に同社を引き継いだ。
だが、引き継いだとはいえ、会社のことは全くの素人で、おまけに教えを請う前に先代が他界してしまった。手探り状態の中で、「まさに暗中模索の日々を過ごしていた」という。
2年後の平成18年、運輸安全マネジメント制度の導入をきっかけに、安全に対する管理体制の構築を先頭に立って取り組んだことで、これまでの手探り状況に、明るい兆しが見え始め、徐々に手ごたえを感じるようになったという。
当時90台あったトラック全車に、いち早くデジタコを導入し、ドラレコやバックアイカメラなど安全管理に役立つ機器を相次いで導入していった。
ハード面の整備を進める一方で、ソフト面の整備にも着手。エコドライブ報奨金や無事故報奨金の導入を行い、エコドライブの推進を図っていく。事故は目に見えるほど減少し、燃費も30%以上向上。輸送品質は格段に上昇した。
同社は住宅設備メーカーを荷主に、110台のトラックを保有しているが、売り上げの7割をその荷主に依存しているのが実情だ。そのため、同社では現在、現状のサービスレベルを落とすことなく、他の仕事を増やしながら依存度を下げることに取り組んでいる。同社長は、「将来的には1社の荷主の依存度を4割まで下げることが理想」と話している。
一方、3年前からECO事業部を立ち上げた。電解水生成装置や生ごみ処理機などの販売を手掛けているが、世論の関心の高い環境事業への参入には、手ごたえも感じており、柱となる事業へ育て、ゆくゆくは運送との2枚看板としての展開を目指していく。
「3か年計画の策定など、ようやく先を見据える体制が構築できるようになってきた」と話すが、「まだ、始まったばかりで、これからが本当の勝負」と気を引き締める同社長。サラリーマンを辞め、会社を継ぐという大決断をして14年、設立50周年を迎える会社の目指すべき方向性が見えてきたようだ。
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