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運送会社
NECコンピュータテクノ RFIDで資材受入れを効率化
2008年10月1日
UHF帯RFIDを活用し、検品作業の効率化が実現――。NECコンピュータテクノ(山梨県甲府市)は生産革新の一環として、かんばん方式による資材受け入れ業務を効率化するRFIDシステムを構築し、4月から本格稼働を始めている。
特筆に値するのは、グループ内での運用にとどまらず、取引業者(サプライヤー)とのやりとりにも用いられている点。今後、同社とNECは同システムの外販を開始するという。同システムの構築を推進したメンバーに話を聞いた。
PCサーバなどの生産を手がけるNECコンピュータテクノは、「多品種少量、なおかつ量に変動がある」(資材部の清水孝徳購買マネージャー)という特徴がある。同社は98年からかんばん方式の導入など生産革新に積極的に取り組んでおり、この10年で生産性を10倍向上させ、棚卸し資産を3分の1に削減することに成功している。新システムもその一環で、今回は工場で資材を受け入れる際の検品業務に着目。これまではバーコードや目視で行っていた検品作業を、RFIDの活用によって一括で行えるようにした。
検品の方法は2つ。一つは「ゲート通過一括検品システム」で、納入を行うドライバーがケースを載せたパレットごとゲートを通過するだけで検品が終了。
ゲート一括検品システム
一方、RFIDが苦手とする金属部材や、小さい・薄いなどの形状により、かんばんに貼付したRFIDタグが重なり合う部材の場合は、「混載箱一括検品システム」を利用する。これは、回転機構を持つ台の上に、多様かつ複数の資材が入った混載箱を載せると、その周りに設置されたアンテナがタグを読み取る仕組みで、「数秒でタグの読み取りが完了する」(新業務推進部ソフトウェア開発グループの市川英吾主任)という。
読み取り方法に工夫が凝らされた混載箱一括検品システム。写真は清水マネージャー
いずれのシステムも、作業者のIDを作業履歴として残すことができる。また、読み取ったタグの枚数はすぐにPC画面で確認することが可能だ。
読み取ったタグの枚数はリアルタイムでPC画面に表示。写真は有薗主任
清水マネージャーは、「従来方式に比べて混載箱の検品にかかる時間は80%短縮した」と自信を見せる。ゲートでの一括読み取りも合わせて、検品エリアでの滞留時間を短縮することで、「止まらない」サプライチェーンが実現する。
今回、特に「混載箱一括検品システム」では、「部材に合わせて適材適所のタグを使う」「多方向のアンテナから電波を照射する」(同グループの大澤善弘主任)などの工夫を施し、「最後の1枚まで読み取れるように」精度を高めた。導入して2か月経つが、「読み落としは発生していない」(同)という。また、周辺のタグを誤って読み取ることのないよう、エリア制御や電波遮断カーテンの利用などの対策もとられている。
大澤主任(左)と市川主任
同工場に製品を納めるサプライヤーが、システムの導入に負担を強いられることはない。変更点は「タグを貼る位置や角度に少し気をつけていただく程度」(営業部の有薗慶太主任)。現在はサプライヤー6社が同システムに対応し、今後は、かんばん方式を実施している約120社に協力を求めていくという。
NECとNECコンピュータテクノの両社は今後、調達物流や検品業務の効率化を目指すメーカーや物流事業者に同システムの外販を行う。NECユビキタスソリューション推進本部の土居宏主任は、「3年間で20社、100億円の売り上げを目指す」と話す。
NECの土居主任
NECのHPは、http://www.nec.co.jp/ -
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