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製品・IT
船井総研 事業承継とM&Aを支援
2017年5月8日
船井総合研究所(東京都千代田区)はこのほど、物流事業者の事業承継とM&Aの支援事業を本格的に開始した。少子高齢化が進み、人手や後継者不足など、事業承継に関わる問題が山積している昨今。「買って終わりではない」という同社のM&A事業は、運送事業者を救う手立てとなるのか。
「『売り手からすると高く買ってもらう』『買い手からすると安く買う』だけではなく、一緒になった後の『相乗効果』や『相性』も重要」と語るのは、M&Aコンサルティング事業室部長で上席コンサルタントの宇都宮勉氏(写真左)。「M&Aは目的ではなく、一つの手段。あくまでも業績アップが目的で、その後も継続的にコンサルティングでお付き合いさせていただく」という。
M&Aにかかる期間についても、「他社では3か月から半年程度が多いが、当社は1年以上かける場合もある」と、短期間ではなく、長期的なスパンで対応。「買われる側の社員が不安にならないよう、事前に統合先の企業での研修を設けるなど、時間をかけてゆっくりと徐々になじんでいただく」と説明する。
一般的な事業承継の方法には、息子や娘などの親族への譲渡や、廃業、売却などが挙げられるが、「実際は子どもへの承継がほとんどで、承継を検討し始めてから時間が経つにつれ、選択肢は狭まってくる」と同氏。
たとえ子どもがいても、必ずしも後継ぎになるとは限らない。「高卒で会社を立ち上げた相談者は、『我が子には学歴を』と、教育に力を入れたところ、なんと東大に合格した。もちろん素晴らしいことだが、おそらく会社を継ぐことは難しいだろう」と苦笑。そして、「子どものいない経営者は、事業承継にさらに頭を悩ますことになる」と語る。
有能な社員に社長業を引き継いでもらうにも、「運送業界では、能力があれば、先に独立してしまう」と現実的には厳しい。また、「『株の分散』は一番してはいけないこと」と強調。「利益を落として株価を下げてから社員に売ると、企業価値そのものを下げてしまう」と警鐘を鳴らす。
同氏は、「運送経営者も社員の頑張りに応えたいが、保険や車両のメンテナンスなど、コストはかさむ一方。社員のことを考え、より良い労働条件だけでなく、手厚い福利厚生などを目当てにM&Aを検討する経営者もいる」と明かす。「細かな要望を聞き出し、マッチングできれば、お互いに収益を高められる」と強調する。
事業承継だけでなく、戦略的なM&Aとしても、「一から企業を立ち上げるより、例えば30台の事業者を買い取る方が成長のスピードが速められる」とし、「買い取る目安は自社の10分の1以上から3分の1以下の企業。それ以下だと、あまり効果がなく、それ以上だと持て余す」と説明する。
「近年、ホールディングスへの移行についての相談も増えている」と語るのは、上席コンサルタントの橋本直行部長(同右)。ホールディングスの場合、給与規定を合わせる必要がないため、「運ぶ物や地域によって給料が異なっても、容易に合同化できる」とメリットを説明し、「当社の専門特化したスタッフが、業種固有のリスクについても親身になって相談に乗る」と語る。
同社では、Webサイト上で「1分でできる企業価値カンタン算定」サービスを公開している。売上高や営業利益など、数字を打ち込むだけで簡単に自社を売却した場合の価値を算定できる。
宇都宮氏は、「他社よりもフィーのハードルは下げている。ぜひお手伝いさせていただければ」と語った。
◎関連リンク→ 株式会社船井総合研究所 M&A関連記事
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