【出席者】
日本ヒューレット・パッカード／北島善吉氏
損保ジャパン・リスクマネジメント／柳沢芳太郎氏
ＳＧモバイルサポート／一蝶茂人氏
綜合警備保障／永野正氏
ＬＲＱＡジャパン／原田靖雪氏
西日本鉄道／苅田敬三郎氏
三菱電機システムサービス／木内保幸氏
司会＝ＴＡＰＡアジア日本支部／浅生成彦氏

浅生「西鉄さんでは取得後に荷主からの評価は変わりましたか」
苅田「セキュリティレベルが高いという評価は頂いております。多少、大げさかもしれませんが、『企業価値の向上』につながったのかなとも思っております」
浅生「佐川アドバンスさんでも、取得後に荷主からの、そういう評価は聞いていますか」
一蝶「ある企業では、荷主からの要望で取得したわけではなかったのですが、『TAPAの基準に沿って倉庫を管理して頂いているので安心できる』と言われるそうです。これまで以上に強い信頼関係を構築できたと喜ばれています。また、先程も木内さんがおっしゃったように、社員やドライバー、そこに出入りする業者へのセキュリティに関する教育が最も苦労する部分でもありますが、終わった後は、それに準じて作業をしているので、『物を扱う』という取り組みに対しての気持ちの持ち方が大きく変わったという声も聞いています」
浅生「日本HPさんにお聞きしますが、荷主から物流事業者へのアドバイスはありますか」
北島「先程も申しましたが、日本ではいわゆるセキュリティ基準がないのが現状です。『どこまでやったらいい』という物差しがないので、『TAPAというのがあるので、それを参考にしてください』と言います。それを取得してくれと言っているのではなく、参考にしてほしいと話しています」
浅生「おっしゃる通りです。社内教育用にTAPAのレギュレーションは非常に参考になると思います。目標として数値化されているというのは、とてもやりやすいので。それを、日本支部としては活用していきたいと思っています。『これだけやっておけばいいですよ』と言える数値がTAPAにはあるので、非常に便利かと思います」
浅生「損保ジャパン・リスクマネジメントの柳澤さんにお聞きしますが、損害保険やリスク評価という点で損保業界からの注目度は？」
柳澤「当社は保険会社系のリスクマネジメント会社として、多種多様なリスクマネジメントコンサルティングや研究開発を実施しています。その中で、TAPAが取り組むセキュリティリスクは、火災・地震・水災リスクとともに、財物を対象としたプロパティ分野のリスクコンサルティングに分類されています。TAPA基準というのは、物流倉庫のセキュリティレベルを示す指標ですので、当然、その認証の取得いかんで、当社のリスク判断ではプラス要因に働くという認識を持っています。保険業界全体のTAPAへの注目度は、まさにこれからという段階ですが、確実にその関心は高まっていくと考えています」
浅生「LRQAさんには、TAPA審査・認証会社としての意見をお聞かせ下さい」
原田「日本の治安の状況などを考えると、TAPAに対するニーズはまだまだですが、ISO28000（サプライチェーンのためのセキュリティマネジメントシステム）とあわせて検討されるケースが多いようです。ISO28000は、9001や14001と同じく、詳細な業務分析により重要課題やリスクをしっかりと洗い出して管理することが求められます。このなかで、物流における管理を改善し、維持するツールとしてTAPAは非常に有効であるといえます」
浅生「現在、日本でのTAPA審査機関はLRQA、SGS、ビューロベリタス（BV）の三機関しかありません。ぜひ、これからも普及促進に尽力いただきたい」
原田「TAPAの取得メリットは大きく、モノ、ヒト、プロセス、情報をしっかり整理整頓し管理することは、セキュリティのみならず品質や安全、顧客満足の向上にも役立ちます。弊機関としてもISO28000とともにTAPAの啓蒙を進め、普及に努めていきたいと考えています」
浅生「最後となりましたが、TAPAには現在、電子機器メーカーだけでなく、食品や医薬品、高級ブランド品メーカーなどからの引き合いも来ています。幅広く認知され、日本の物流業界で普及が進むように、日本支部としましても頑張って参りますので、皆さんよろしくお願いします。本日は、ありがとうございました」
（了）