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    高速道路の割引拡大で協組ピンチ、平均利用額低下で

    2009年3月18日

     
     
     

     不況に併せて次々と打ち出される高速道路料金の値下げによって、ETCコーポレートカードの共同利用事業を行う協同組合が厳しい局面に立たされている。高速道路を利用しない、あるいは深夜・早朝、通勤割引などを利用することで平均利用額が低下し、「大口多頻度割引」が受けられなくなる可能性が出てきているからだ。利用額の少ない組合員に対しカードの返却を要求する組合もあるという。


     2月のある日、愛知県三河地方の協同組合事務局長が憂鬱な顔つきでカードの枚数を数えていた。「これ、今月になって返ってきたカードだよ」。数えていたのは組合員から返却されたETCコーポレートカードで、その数は20枚。
     返却の理由は、不況による高速道路利用の減少だ。「トヨタショック以来、高速道路の利用額が激減した。このままでは割引ラインを割り込んでしまうので、月3万円に満たないカードは返却してもらっている」と話す。
     292社が加入する県内最大の愛知県貨物運送協同組合でも状況は同じだ。1月の利用実績がゼロだったカードが全体の16%にのぼった。全体の利用額も前年比20%減少した。その内訳は、深夜・早朝の割引率拡大による減少が8%、不況が原因とみられる自然減が12%。
     箕浦育夫事務局長によると、「昨年度はカード1枚あたりの月平均利用額がおよそ6万円で推移していたが、今年度は大幅に下がった」という。同組合でも、利用額が3万円に満たないカードは返却するよう要請しており、「小規模な組合員にメリットをもたらすはずのETC共同利用事業なのに、現実は切り捨てざるを得ない」と嘆く。
     ETCコーポレートは、東・中・西日本高速道路各社が法人向けに発行する料金後払いカードで、1枚あたり月5001円以上の実績で最大20%まで割り引く「車両単位割引」と、1枚あたりの月平均利用額が3万円以上かつ総額500万円以上の利用実績に対し10%を割り引く「契約単位割引」の大口・多頻度割引が受けられる。
     東日本高速道路は昨年4月から12月までのコーポレートカード発行枚数が21万枚と、その推移に変化はなかったものの、中日本では同4月の39万枚が12月には38万枚に減少、西日本でも昨年1月の38万8000枚から今年1月には36万4000枚へと大幅に減少している。
     このような中で現在、カード1枚あたりの平均利用額を3万円から2万7000円に引き下げる方向で調整が進められているという。しかし、高速利用料がおよそ15%減少している中、焼け石に水という意見も多い。平日3割引という新割引制度も始まるなど、協同組合は今後も厳しい運営を迫られそうだ。(加藤崇記者)

     
     
     
     
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