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物流ニュース
大和ハウス工業 浦川竜哉取締役「物流を地域創生の核に」
2020年8月28日
大和ハウス工業の物流施設開発の先頭に立つ、国内・海外(東南アジア)建築事業担当建設事業推進部長である浦川竜哉取締役常務執行役員は、コロナ禍の物流センターについて「とにかく省人化で人との接触を避けること。パートナーシップ企業のHacobuが開発したトラックバース予約システムを使えば、人と接触せずに受け付けし、庫内滞在時間も短縮できるなど、少しずつの工夫が必要。パレットなどのシェアリングは共通のプラットフォーム化が進まないとできないが、それには時間がかかるだろう」と述べる。また、「9月3日に無料ウェブセミナーを開催し、現場の自動化戦略について説明する。グループ会社のダイワロジテックやフレームワークス、アッカインターナショナルなどとシェアリングに試行錯誤しながら取り組んでいるが、荷姿の変動や出荷頻度など、様々に違う荷物に対応するのはとても難しいと痛感している」とも。
その状況下で活発に物流センターの開発を進めていくことに対して「コロナの影響を大きく受けている業界もあるが、外食せず自宅で食べるなど、食品向けスーパーはどこも好調。EC化率が低い日本ではeコマース需要も当分細らないと思う。成熟後は機能や業種、業態に細分化され、4温度帯とかアパレル専用とか、現金受配送のように他と同居できない業種の特殊建築のセンターなど、偏ったニーズの専用センターや物流プラスαの複合センターなど、昔は考えられなかったような、時代にマッチした特殊なセンターもできるかもしれない」と語る。
また「デベロッパーさんの希望だと地方にはなかなか建てられないが、物流センターの建設により地方に生産工場などを呼び込み雇用を生むこともできる。物流センターは社会的必要インフラなんだなと。かつて物流センターはモノを置くだけで雇用を生むこともなくトラックの出入りを危険と思われたかもしれないが、いざという時の防災、雇用あるいは保育園にもなると分かっていただければ。貸し部屋や貸家の大和リビングと提携し、ご希望があれば従業員の方に住居の斡旋も行うなど、今までより踏み込んだサービスも提供していく」
さらに防災面では「ハザードで水害の危険性があれば嵩上げして建てるなどの対策も進めているし、免震、耐震構造の物流センターは防災拠点としても利用してもらえる。昨年秋の多摩川が氾濫した台風19号では、DPL国立府中が完成し、現在1棟全部を借りてくれているEC事業の大手企業が入居する前に発生した。この地域の自治会長からDPL国立府中に住民を避難させてほしいという電話があり、ランプウェイなどの共有エリアに約70台の車で避難していただいたが、お年寄りや体の不自由な方も車に乗ったまま避難できて感謝された。今後も免震構造とバックアップ用の非常用電源等を備えていく考え」同社では7月3日に三重県桑名市と「地震等の災害発生時における市民生活の支援に関する協定」を、同9日には岩手県花巻市と「地震等の災害発生時における物資集積協力に関する協定書」を締結。また他にも街づくりの推進に関連する協定等でも締結を進めている。
浦川常務は「地域の方と共存・共栄できる物流という形ならば見る目も変わってくるだろうし、それが我々の社会的使命なのかなと。大和ハウス工業の主業は建設業で、お客様の請負でやってきた物流施設のノウハウを生かし、自社施設開発として始めた珍しいケース。本来のお客様である、その地域の若い世代の〝住と職〟の総合生活産業と、生産企業などの物流に関わる施設開発業とをあわせた〝物流以外のことを一番やっている物流デベロッパー〟と言えるのではないか。生活の場と働く場、子供を育てる場を通した街づくりとして開発することで、地方創生の核の一つに物流がなれれば良いなと思う」と語る。
◎関連リンク→ 大和ハウス工業株式会社
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