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物流ニュース
いつも.本多執行役員 EC需要への今後の物流の対応
2020年9月3日
新型コロナウイルスの感染拡大にともなって、働き方や生活様式が変化した。これによって高まるEC需要に合わせて、物流はどのように対応していかなければならないか。EC事業支援及びEC事業の総合アウトソースをワンストップで提供している、いつも.(坂本守社長、東京都千代田区)のフルフィルメントグループ執行役員の本多正史氏に今後のEC物流について話を聞いた。
EC物流の現場からロジスティクスシステム、財務まで幅広い知見を持ち、史上最年少で「ロジスティクス経営士」の資格を取得した本多氏によると、「EC業界ではコロナの前から、BCP(事業継続計画)の観点から拠点の分散化が必要とされていたが、現状は進んでいない」という。
「BCPの観点から拠点の分散化についてはこれまで、議題や課題には上げられてきたが、実際は中小企業で取り組まれることはなかった」とし、「ただ、今回はこれまでとは違って、大企業のAmazonでさえ出荷できないとか、出荷遅延の問題が起こったため、大企業や中小企業関係なく、拠点の分散化の必要性が大きく高まっている」としている。
EC物流に携わる倉庫会社のほとんどが、10億円未満あるいは、大きくても20億円に満たない中小企業であり、どちらかといえば風通しの良い倉庫が多い。対して、大企業ほど気密性の高い倉庫なので庫内は密になってしまう。そのため、大きな倉庫では感染防止のために人が集まらなくなる。物流はモノを取り扱う仕事であるため、倉庫で作業する人が少なくなれば出荷遅延や出荷そのものができなくなってしまう。
「注文件数5000件未満だとあまり感じないかもしれないが、1万件を超えるとリアルに出荷制限をかけなければ回らなくなる」とし、「やはり拠点の分散化や自動化は必要で、いつでも出荷できる体制にしておかなければEC需要に対応できなくなる」と考えている。
「大企業ではコロナを機に、拠点の分散化や自動化などに取り組む速度感が物凄く変わってきていて、実際に『半年以内にやる』とか、『即やらなければいつ出荷できなくなるかわからない』と危機感を持って対応している」とし、「感染防止という観点から実際に、システム投資を行って自動出荷へ取り組むといった動きがみられるようになった」と話す。
いつも.社が7月に、売上に応じた従量課金型のEC専用物流サービスで日立物流(中谷康夫社長、東京都中央区)と協業したのも、倉庫の中で高効率に人の手をかけずに回していくもので、拠点の分散化とともに、コロナを機に自動化や省人化に向けた取り組みが加速している。日立物流はこれまでも、コロナ前から自動化を進めてきた。システム単体でみれば今まであるものと大きく変わらないが、シームレスにつなげたという点では、これまでのものと大きく違っており、感染防止のために密を回避するということも、かなり実現できている。
「この様な状況のなか、Amazonは究極だと思うが、注文も自動化、在庫の引き上げ業務も自動化しており、倉庫の中も自動化されている。彼らが凄いのはあれだけ大きな会社であるのに、多少出荷が遅れますという程度で出荷できているということだ」としている。
中小の会社では、倉庫の中が自動化できていないので、そこで働いている人に感染リスクが生じるだけでなく、人を集めることもできなくなってくる。こうした状況が複雑に絡み合うことによって、中小企業で出荷ができないということが起きている。そのため、世の中の認知的にはBCPの観点で、分散化や自動化への取り組みが加速している。
「物流自体が装置産業に向かうというのが、このコロナによってよりはっきりとしてきた」とし、「ECに関しては、消費者が欲しいタイミングで受け取れるかという需要が一番多く、二番目がすぐ受け取りたいという需要である。物流はそうした需要に合わせられるようにしなければならない」と考えている。
◎関連リンク→ 株式会社いつも.
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