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    <交通心理学の第一人者が語る>追突、事前準備で脇見防止

    2009年7月1日

     
     
     

     帝塚山大学(奈良市)心理福祉学部の蓮花(れんげ)一己教授は、日本でも数少ない交通心理学を専門とする第一人者。長年、心理的な面から交通事故を分析し、事故の多い主要道路やトンネルなど数々のハード面の改善を提言している。


     大阪―名古屋間を結ぶ名阪国道(国道25号)は急勾配、急カーブが多い事故多発道路として知られているが、蓮花教授は中央分離帯のコンクリート化と道の駅やトラックステーション(TS)など休憩施設の建設を提言。分離帯や休憩施設の完成後、分離帯を突き抜けて対向車線へはみ出す事故や、仮眠をとるため路肩で駐車しているトラックに追突する事故が激減した。
     また、蓮花教授はトンネルでの事故が入り口と出口付近で多発していることを研究。出入り口では「暗順応」の動作が起こりやすいと分析している。
     入り口で暗くなったり、出口で急にまぶしくなったりすると、アクセルを緩めブレーキを踏む習性を発見。高齢者にその特性が強く見られ、渋滞が発生し、追い越し車線に車が集中して追突事故が起こるとした。それに基づき、幅広や長いひさしを設けたトンネルの建設、トンネルの照明量を増やすなどの提言を行い、阪神高速道路でも生かされている。
     蓮花教授は運転者側の立場からも事故対策の研究を行っている。トラックでは追突事故が多く、中でも脇見運転が一番事故につながりやすいと指摘する。「車内で落ちたモノを拾おうとすると3秒かかるが、その3秒は目を閉じた状態と同じ。余計なことを車内で行わないように事前の段取りが大切」と脇見につながりにくい環境作りを経営者に呼びかけている。
     長距離ドライバーは車内での行動が日常生活の一部となりがち。ひげを剃り、新聞、テレビを見るといった行動が習性化すると、「走行中に信号を見落とすケースは少なくない」と危険を指摘する。
     原因としてテレビ、新聞、カーナビの注視、携帯電話の受信を挙げるが、心理的な要素も脇見につながる。例えば、荷台のロープの縛り方が緩いと気持ちが後方に向かい、追突事故になるケースもある。
     蓮花教授は「労働災害でも段取りが悪いから事故につながる。宅配便は多くの伝票を見ながら運転するが、事前の段取りが出来ているから事故がほとんどない」。また、「今の運送業界は素人の運転者が多い。運転スキルが低い中で、教育されていない人が多く、会社の安全管理の仕方が重要である」とも話している。(大塚仁記者)

     
     
     
     

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